行く手を阻む二人に、ただ一人で剣を向ける。
大理石の青年を退け、少女に向けた剣は障壁に阻まれる。
何度、剣を振り下ろしたところで、少女には届かない。

障壁を払う術は知っている。
知ってはいるが、実行する為には足りないものが多すぎる。

剣を持つ手に力が入らなくなるまで振るっても、此処を通り抜ける事ができるだけの隙を作ることはできなかった。

これ以上繰り返したところで事態は好転する事はない。
僕はおとなしく引き下がる事にした。


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情報を集めるにも戦うにも、たったひとりでは都合が悪い。
それでもひとりで行動したのには、理由はあった。

ある事を確かめるためだ。

本当は、確かめるまでもなく答えはわかっていたのかもしれない。
それでも確かめようとしたのは、答えを肯定するためか、否定したかったからなのか……。

結果は予想を裏切る事もなく、ただ現実を突きつけられるだけのものだった。

確かめるまでもなく、わかっていた。
僕には足りない。
力も、速さも、体力も、何もかもが……。

体格や才能に恵まれているわけでもない。
剣を取り鍛錬を積み重ねてきた期間は、他の戦士や騎士に比べれば随分と短い。
だから、自分の弱さなんてものはわかりきっていた。

この目で確かめたかったのは、敵の強さ。
そして……味方の強さ。

予想通り、どちらも僕よりも格段に強い。
敵は小さな少女までも僕を上回る強さを持ち、
味方である一揆参加者は、ここ数日で共に戦った者たちは皆、敵を軽々と退けるだけの力を持っていた。


だから、考えずにはいられない。


僕はこの一揆のために剣を振るい続けるべきなのかどうか……。