夜が明け、辺りが明るくなりはじめた頃、森の中に設置した小屋を撤収し、移動をはじめる。

僕がいない間にセリーナと共に戦ってくれる人たちと、小さな屋敷付近への道案内をしてくれる人は昨夜のうちに探す事ができたので、あとは予定通りに行動をするだけだ。

準備の甲斐あって、商談の場所へは数時間余裕を持って着く事ができた。
しばらく待って、日が傾きかけた頃……約束の時間の10分ほど前に、一人の男がやって来た。
セリーナに聞いた人相と一致する。今回の商談の相手だ。

そう挨拶をしながら、セリーナから預かった書類を見せる。

書類を見て僕がセリーナの代理人だと確認した後、申し訳なさそうに男が言う。
セリーナが無理な商談の予定を組んでいたのに違和感があったのだが、そういう理由だったのか。

商品を渡してサインと代金を受け取る。

軽く一礼して、男を見送る。


はじめての商談はごく僅かな時間で終わった。
僕が失敗をすればセリーナに迷惑がかかってしまう事もあり、随分と緊張した。
神聖騎士団長や国王陛下に謁見する時と同じくらいに緊張していたのではないだろうか。

商談が無事に終わった事をはやくセリーナに報告するべく、夜の闇に染まりつつある道を足早に駆けていった。

　
　　　　　　右手に、魔術力場を形成した。

　
　　　　　　興味深そうに手に取った。

　
　　　　　　静かに笑って、右手に魔術力場を形成した。

（綺麗な所作で腰に下げた鞘から長剣を抜き放つ、軽く対峙者に頭を下げる）