考えなくてはいけないことが多すぎた。


妹の存在の唐突な喪失。

マァムブの稼働限界。

侵蝕する病魔のエンブリオ。

未だ影すら踏めぬ黄金郷。

足りない11の契約者。

「……これだけ……」

握りしめたコインが、ミシリと音を立てる。
これだけしかない。
「わたし」には、これしかないのだ。

過去を捨てるようにしてここに立っている。
他人を喰らうようにしてここに立っている。

ああ、そうだ。
私に出来ることは数少ない。


せめて、最期の時だけは見失う訳にはいかない……！！

賊が炎渦巻く旋風から抜け出すのを見ると、ナナシは旋風に紛れ込ますのに使った油袋を
放り捨て帯に差した短刀を抜く。

そして賊の挙動を注視して一気に畳み掛けるか、それとも誘われているのかを図ろうとする。
…が

既のところで手にしていた短刀を上方へ放り投げ、木の葉を舞い散らせて自身へ被せる。
雷を直撃することは避けられたが、少量の派生がナナシの体へと伝わりその身を一瞬痺れさせた。

賊を敢えて真似するように虚空を一撫ですると中空には先程とは比べられぬ量の草花が舞う。
そのどれもが毒草で、微かに残っていた先程の焔風と合わさり猛毒の煙を放つ。

…そうなれば風精は最早風を吹かせ煙を賊へと向かわせるだけ。
賊の周囲は猛毒の煙で包まれだした！


名乗らずのナナシのヴェノムショット！　 1D100 = 22 ( 22 )
ACTION?　？？？：　 1D100 = 8 ( 8 )

　リレッタがお土産に１つ買ってくれると聞いたクロエは、どれにするか選び始める

　クロエはそういって「6」のコインを指さした

微かに、囁くような声。けれど、酷く掠れたそれはとても言葉足りえず、くぐもった響きだけを残して消えた。

深く一礼した……。