ナイフを同時に4本構え、
埋まって身動きが取れない（であろう）2体のエンブリオに狙いを定める。

使ってる魔力も一緒に元に戻すのかなーなんて思いながらそのまま抵抗せず
手が侵食され始めてもその様子を観測するだけにとどめていて

さすがにこのまま全身を食べられるわけにはいかないと焦りつつもこのままだとどうなるんだろうという好奇心
死とは縁遠い存在だからこそ試してみたいと思ってしまうそんな破滅的な
結果フイユさんの肩を揺すったりも、自分の腕を切り離したりもせずそのままじっと
・・・一応保険はかけておきながら・・・

ぽんっと変身するようなケムリがちなの頭を包むと長い髪もどこかに消えモヒカン風な髪型に

不測の事態にもっとも大切なのは慌てないことだ。
冷静であれ。
それが戦場において命の道筋を分ける。

これでもな、と自嘲の笑みを。

エンブリオ喰いである自分が、親しくあろうとするのがまず無理な話だ。
例外なく、敵対するものも契約したものも喰っている自分にそんな権利はない。
自分で自分を戒めつつも、ほほえましい光景だと笑う。
そうやって愚痴れるのも仲がいい証拠だ、と。

なんてな、とクククと笑う青年である。
続けられた相手の言葉には、さすがにちょっとぎょっとしつつも。

冗談ともわかればほっと息をつくのだった。