目の前のレイが歌を歌う。

このハーピーは歌を軸にして戦う。
歌うことで攻撃し、歌うことで癒やす。

だが。



兎には音がわからぬ。

音感がわからぬ。

感動が、旋律が、音色が。

価値がわからぬ。

耳にするりと入ってはくるものの、何も感じない。
音色は一切届かない。


ただ歌と言えば・・・昔を思い出す。


昔の王が語っていた夢物語を思い出す。

神に仕え、歌い、踊っていた神族の逸話を思い出す。
たしか奏者もいたような・・・、

そしてその人なのだという、１人の女性の姿を思い出す。
あの人は王のその後を知っているのだろうか。
歌こそ聞けなかったものの、舌っ足らずで、それでも清廉な声だった。

レイの声は男声のそれで、また別格だ。

そんなことをふと思った。

歌い終わり、頭を撫でられた。
まっすぐ向けられる視線が・・・穏やかな視線が・・・、

自分には勿体無い気がした。

　　　△　　土　▲
　　（　?　皿　?）　　がしゃーん
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　／│　　塊　　│\　　　　　　　　　がしゃーん
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