闘技大会が終わってまだ日が浅いけれど、
もう２回目の大会が開かれるみたい。
私もアルファも、今回は参加していない。
アシェラッドと卯の花腐し…一緒に参加した大会は終わってしまったけれど、
まだ、絆は続いている。



セフィラータでは体験できなかった人付き合いの形…だと思う。
共に進んでも、別々に進んでも、進んでさえいればいつでも会える場所にいる、仲間。
この世界の地形と、共通する目的のおかげ…
セフィラータでもメルンテーゼでも、誰かを護るという目的しかなかった私だけれど、
こんな出会いがあるならば、ネクターを取り戻すための戦いにも、
もっと協力したいと思ってしまう…
…アルファの方も、そうなんじゃないかって、思う。
森で合流した時、様子がおかしかった。
アシェラッドを気にしていた様だけれど、ケンカでもしたのかしら？
そうだとしたら、やっぱりアルファにも、良い影響が出ているのだと思う。
ケンカは、自分を解って欲しいと思う相手が居なければ、出来ない事だから…。

若者の荷物袋、その口紐の先端には枕元に置いてあったストラップが括り付けてある。
それを一度確め、笑みを零す。誰の仕業かは分かっているようだ。

両手を出して開けば、
若者の手からは色とりどりの、幾つもの飴玉が溢れて降ってくるだろう。

寝起きのぼんやりした様子で枕元の木の実を見つめている。

何かを察したような表情

たっぷりと悩む様子を見せた後

（愛用の長剣に関する感想に、左右色違いの瞳が驚きのような感情に染まって瞬く——直後、長剣に据えられた宝玉が淡い光を放ち、そこから妖精サイズの何かがふよふよと浮遊しつつ現れた）

（どうやらシェリィの愛剣である品への感想が、大層お気に召したらしい。機嫌の良さそうな声である）

（小さく肩竦め。それに対してはアークの方は何やらぶつぶつ言っている。始終小言を言われるような行動が多いのが問題だ、云々）

（どこかずれた事を口にしつつ。そしてその腕に何らかのギミックが内臓されているというのは知識外ゆえ想像していないのだろう）

そんな風にはみえなかった、という言葉に、悪戯が見つかった童子のような顔で小さく笑った。

宙を彷徨うユキナの左手をしばらく見つめるが
いっこうに重ねられそうにない動きに焦れたのか

そう言ってやや強引に自分から手を伸ばして重ね、外に連れだした。

ユキナが気を遣わせまい、空気を悪くしまいと
言葉を選ぶさまを見ながらしばらく黙っている。
一区切り着いたところで言葉を漏らした。