日差しの強い枯れた土地に着いた。
以前にも通りかかったこの場所は、セフィラータの砂漠とは少し違って、
身を隠せる程の大きな岩や、目印の様な旗などが散在している。
前方に黒い人影を確認した所で、私と、アルファとミルとコロは別れた。
３人はこのまま追跡、私は少しずつ移動する人影…トキサメを追い越すために足を速める。

岩に身を隠して移動しながら、少しだけ不安になる。
ミルとコロは、旅にも慣れているし、きっと大丈夫。
アルファは…不安になったり、していないかしら…
足場の悪い地面に足を取られたりしていないかしら…。
本当にそんな事があっても、近くに居なければ何も出来ない。
不安のせいか、急いでいるのにあまり進んでいない気がする…
実際、時間はあまり経っていない。
太陽の位置も影の長さも、３人と別れた時のまま。

産まれたときから旅をしていて、ずっと家族と一緒で、一人になる事なんてなかった。
誰かと一緒にいなければ、誰かの役に立つ事もできないのかしら…

突然声がかかって振り向くと、先程別れた筈のミルが、こちらに走ってきていた。
…弟の匂いにも気が付かないなんて、どれだけ注意に欠けていたのかしら…。

ミルが手渡してきたのは、アルファがミルとコロにくれた、無線機の片割れ…

無線機を受け取る。
私から家族に送る合図は、世界を渡る前から決まっていたけれど、
確かに、言葉でやり取りできるならその方が便利かもしれない。
どこまで考えたのか分からないけれど…もしかして、使ってみたいって事なのかしら…と
いつになく笑顔を浮かべるミルの表情をみて、思ってしまった。

ミルが背を向ける。これから、また少しの間、１人きり…

姉さんに無線機を渡して引き返すと、トキサメって人を追っているコロと…
コロから距離を取って…二重尾行みたいになってるアルファさんと無事に合流できた。

コロは、地面に"アーシェ△"と書いた…

ボクは、地面に"卯の花腐□"…と書いた。

——…"アルファ…ミル、コロ、聞こえる？"

突然コロの持ってた無線機から姉さんの声が聞こえて、
コロが返事をしたけれど、姉さんの言葉は返って来ない。

頭が？になってるボクたちに、岩の陰から声がかかった。

コロに任せるのが心配になったボクは、
無線機をコロから没収して、アルファさんに押し付けた。

返事が遅かったから、ちょっと心配してしまった。

荷物を漁って、シップ・薬草・包帯…と色々取り出し始める

若者は食べたことも聞いたことも無いらしい。