瞼越しに眼球を突き刺す朝日に呻き声を漏らし、身を護るように毛布を被る。普段の眠気だけでなく、どうにも気分がよくない気がした。ただでさえ、このところ寝付きが悪い——色々あって気が立っていたのか、昨日は殊更に眠れなかった。沈み込む意識に身を委ねそうになるが、纏まらない思考の岸を手探る中、今日の約束がその指先に触れた。また眠り直してしまっては、待ち合わせの時間に間に合わなくなりそうに思えた。
　大儀そうに体を起こして膝を抱える程に背を丸める。支障が出るほど体調が悪いわけではなさそうに思える。黒い霧が胸で渦巻いているような感覚。廊下の大広間を守っていた、黒い甲冑から放たれていた霧のような。できるだけ吸わないように気を付けていたとはいえ、一帯に漂っていた気体を全く吸い込まないのは難しかったということだろうか。
　肺腑の内にある空気を全て入れ換えるように深く呼吸をするうちに、幾らか楽になってきた。勢いを付けて立ち上がり、全身を伸ばす。未だ思考に掛かる靄も、体を動かしていればそのうち晴れるだろうと見当を付けた。
　手早く荷物を片づけると、太陽の位置を確かめる。——朝食を探す時間くらいはあるだろう。

どうにもうわのそらのようすでスチュおにいさんのうしろをもくもくとついていきます。

なめてかかってきたほうがわりぃんだろうしなァ！とケラケラわらっています。

おにいさんがだしたけつろんにとくにあれこれいうつもりはないようです。

これをすればかんぺき！というものがあるわけじゃないの？とこまりがお。
とほうにくれたようにおにいさんをみあげました。

ふぅん、とうっかりながしてこたえ——

ようやくそのいみがわかったのか、おにいさんのゆびがさししめすはばをみてがくぜんとしました。

よっぽどくやしかったのか、うつむいてわなわなとふるえています。

あんぜんのためとはいえ、せっかくたくさんのとびらがあるのにあそびにつかえないのをざんねんにおもっているようです。

どういったりゆうならつかってもだいじょうぶなんだろうか、ときになるようです。

なにかかんがえごとをしていたのか、てきがちかくにいることにきづかなかったようです。
あわててスチュおにいさんのうしろにかくれてしまいました。