母や弟と会っても、正直な所、実感はなかった。
何せ身体的には既に、母と同じくらいに成長していたからである。
証明出来るのはDNAくらいだろうか。
それでも、私と母は暫くの間、話をするのを辞める事はなかった。
共に胸の内を吐露したあの日は忘れることは無いだろう。

私が、処分されたのではなく逃された事を母が知ったのは、私が生まれてから3年たってからだと聞いた。
弟が生まれ、家中での力を得れたからこそだったらしく、母は自らが信頼出来る者を使って捜索を開始させた。
それから凡そ半年程度で保護されてた私を見つけて貰った訳だから、生まれてきた弟には今でも感謝をしている。
——私が生まれる前に、既に父が亡き人であった事を知ってはいたが、ついに言葉には出さなかった。
数日の後、安堵しながら母は逝ったので、母と一緒に過ごしたの日数は両の指で事足りる。

弟が元服するまでは、私が名代——と言う事にはならなかった。
忌み子として生まれた私を、母の死を境に家から排斥する流れがあったのである。
当然と言えば当然と言えよう——周りは私を処分しようとした者ばかりなのだから。
それこそ、私を見つけてくれた母の手の者数名しか、味方は居なかった訳で、彼女らに弟の事を任せて私は家を出る事にした。

弟とは年に一度は、コッソリと会う事にしている。
身体的には親子ほど離れていた訳だが、徐々にその差は縮まっていっている。
そう、縮まっているのだ。
2度の時の前借りの術式の影響か、老化する事が無くなっていた。
気が付いたのは、通い始めた大学で言われた一言が切っ掛けだったが、衝撃は少なかった。
それから、あえて避けていた研究をする事にする。
それまで学んでいた科学の徒としてではなく、神彅の家の術者として——


己を知る。
これが出発点にして目標である、私の命題。


科学者、神彅 真那霞はこうして形成された。



まだ道の途中の身であれど、彼等の力に成れれば良いな、と思う。

ユーグとツグミの、あの瞳を見て、物思いに耽っていた私が、
その後の会話をあまり覚えていなかったのは失礼だったろうか・・・

System Message : M.E.E.駆動...出力...30%...40%...50%...M.E.E.戦闘出力確保......

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