地下牢を抜けて進む先は、三度山岳へと舵を切った一行。
以前に通り抜けた際には、誰かしら同行者が居ただけに今度も同様に募るのだろうかと銀髪の少女は中りをつけていた。
　果たして…少女の読み通り、今度もまた男が何処から探してきたのか三人の姿が見て取れた。

　一人目は、聖職者っぽい格好をした、弓を持った性別不詳な人物
　二人目は、淡いピンク色の髪が特徴的な、棍を携えた少女
　三人目は、白い毛並みをした犬…思えば山岳に挑む度に出会っているのは、ある種の縁なのかも知れない。

　そんな三者三様を見比べながら、誰が声を掛けた訳でもなしに一路山岳を進むべく歩を進め始める。

　以前訪れた二度とも感じた事ではあるが、旅路は至って順調で余り人も踏み入れない場所ゆえに、時折景観の素晴らしさに目を奪われる事も少なくはなかった。
　しかし、最低限休憩を取ることはあるものの、じっくり腰を下ろしての長休憩を取ろうとしなかったのは、この地が危険だということを思わせるには十二分な雰囲気を醸し出しているからに違いないのは、三度目にして少女にも理解できたことである。

　そう誰に言うでもなく自身に言い聞かせていると、それを聞き届けたかのように、終わりが見えてきた頃合になって敵影が四つ姿形もばらばらに襲い掛かってきたのである。

　リコの言葉に被せるように言い放ってきた相手に、思わず関心してしまう銀髪の少女があったりもしたが、間もなく戦いの火蓋が切って落とされれば、短い時間に苛烈な攻撃の応酬が飛び交う激戦となった。尤も序盤の二手三手ですでに大勢が決してしまう位には、冒険者達には余裕が見てとれて、其の後は各自試したい技を使っているようにも見て取れた。

　戦いの決着がつき、ぐったりしているオコジョに近づけば

　と、ぼやくオコジョに、紅い花びらを差し出すと以外にもすんなり契約を受け入れたのであった。
　期せずして１０体のエンブリオを迎えることになった男と少女ではあったが、今度は違う問題が起きたことに頭を悩ませる事となったのは皮肉としかいいようがなかった。すなわち…

　そんな複雑な心境を抱きながら、残る山岳の道程を進んでいく銀髪の少女の姿がそこにはあった。。。