・・・割と呆気無い、と感じる程度には正規兵は弱かった。
それでいいのかしら新王体制。

がしかし、私の力は露程も回復してはいない。
昔使っていた——否、使わせて貰っていた技には遠く及ばない。
そも、得物が違うため仕方のない部分は有るのだが、それでも。
延々と探しているほどには、未練があるのだ。

火のように熱い心だろうか。
輝く鋼のような身体だろうか。
・・・或いは、光に満ちた瞳なのだろうか。
今の私はやはり、欠けたものを取り戻せないでいる。


——少し思い直し、人を募っている声に耳を傾ける。
この先、進むならば力は必要だ。
鍛えなおすつもりで難所に挑むのも、悪くは無いだろう。
一路、森へと進むこととする。

食糧問題解決による世界平和は、夢に消えてしまったようです。
世界がカレーの海原に飲み込まれるという悪夢が、未然に防がれた、ということかもしれませんけれど。

そんなことを言って溜息一つ。
返されたコップを受けとり、手にした籠の中にしまいました。

そわそわと、少し落ち着かない様子になりながらも、そんな話をしました。
そうしてから改めて、背を伸ばしてじっと見上げます。

そんなわけで、お話し相手になって欲しいという、お願いをしました。

男は女の言葉に僅か考え込み

苦笑いと共に軽く肩を竦め

　
　　　　　　右手に、魔術力場を形成した。

　
　　　　　　興味深そうに手に取った。

　
　　　　　　下らなそうに笑って、右手に魔術力場を形成した。