妖精はたいてい役に立たない。

ソラメロも縁があって契約したものの、やっていることといえばお菓子をかじったり、しょうもないいたずらをしたり、戦っている間も近くをふらふらして邪魔なぐらいだ。エンブリオとして契約したことで若干の力は得られているような気もするが、あまり実感はない。

「ねえクレー、山登りはつまらないよー。つかれたー」

といったぐあいで顔の周りをぶんぶんと飛び回るので、うざったいことこの上ない。すこし騒ぎ立てたら、たいていすぐ疲れて眠ってしまうので、それまでの我慢だ。とはいえ、それもつかの間の安らぎで、1時間ほど寝たらまたすぐに元気になって騒ぎ立てる。我々とは生活のリズムが違うということが実感できる。うざいことに。

寝顔はかわいいので、ずっと寝ていてくれたら嬉しいのだけど。

どうやら研究や実験という言葉に、かなりの偏見を持っているようです。

クレーさんの、幼く見える外見のこともあり、アムルはとても感心したようです。

なんだか恥かしそうに目をそらして、ちょっと露骨に話題を変えます。

手にしている手提げ籠の布をめくると、その下ですやすや眠っていた妖精を引っ張り出します。
指先でぷらーんと首根っこを掴んでぶら下げていると、すぐに目を覚ましました。