どうも最近、魔物同士の連携的なものを感じる。

先ほど襲ってきた魔物を思い返してみても、それは明白だった。

高い防御力を生かした壁役、攻撃力をブーストする役、純粋に火力で攻める役…。

パーティーとしては、かなり理想的な構成。

同行者が居なかったら、撤退を強いられていただろう。

最初の頃は敵同士の連携なんて感じられなかったけれど、今はそれがある…。

やはり、近づいてきているのだろうか、王の喉下へと。

……仮に。

仮に、王の下へと辿り着けたとして、あたしは王を打倒することが出来る…？

相手は得体の知れない存在…手段を選ぶつもりは勿論無い。

打倒できるのなら、例えこの身体を売り渡しても構わない……もう既に、純潔な身でもないのだし。

……でも。

何故そこまでして、あたしは王を倒そうとしている…？

……『あの人』からの依頼だから。

確かにそれも理由の一つ、傭兵として依頼を受けた以上は、それを全うするのは当然のこと。

でも、それは本当にそうなの…？

この身をかけるほどの理由？

何かが違う…そんな気がして。

……ふと、この一揆に参加して出会った人達のことが頭を過ぎる。

皆、それぞれに王を打倒する理由があって。

中には、王に人生を狂わされた人だって沢山いて。

そんな人たちの心が生活が、王を倒す事で少しでも良い方向に向かうとしたら…。

そのために少し頑張ってみるのも悪くないかもしれない。

自分の大切な人や好きな人のために…ただ、それだけのことだったんだ。

そこには、誰かに言われたからではなく、明確な自分の意志があって。

それなら確かに、この身を賭ける十分な理由になると思う。

それは、何だかどこか懐かしい感情のような気がした。

そう返しつつも、顔が少し綻んでしまっているのを自分でも感じていた。





……。

…………。

大人しく撫でくり回されてたシロちゃん。
そのうちロッテの右手を捕まえる遊びを始めて、尻尾を振り回しながら飛びつこうとする

小さく頷き、その話題は終了させる。

ロッテの話を真顔で聞いている。
時々頷いたりもし…。

唸ったりもしつつ、話を続ける。

ロッテに見つめられ、艶っぽい声を聞くと、完全に硬直してしまった。
目線はロッテの方を向いているものの、何かを見ているような様子ではない。
もはやパニック…というよりも、放心状態で周りをまともに見れてすらいないのかもしれない。

闘技会場へ向かう道中、ふと声を掛けられる。
振り返ると見知った顔が二つあった。

返答もままならぬ間に
片方は腕をぶんぶんと振りながら、
もう片方はやや駆け足でそれ追いながらこちらへと向かってくる。

先日、妙な提案をしてきた少女二人組であった。

こちらに気付いたのか、やや乱れた衣服を整え、ぺこりとおじぎをする。

もう一度ぺこり、と先ほどよりもやや深く頭を下げる。

と、大声で元気はつらつに喋る。

先の忠告をまるで意に介していないようだ……。

RJは誤魔化すように走り去っていった……