趣味でやっているのか、止むに止まれぬ理由でやっているのかわからないけれど、それなりの理由があってやっているのでしょうね。

ま、それこそ詳しく考えようと思っても無駄な物よ。
人の深淵を覗こうとするも同然だもの。

ま、これでも普通の少女のように異性と以外交わるなんてと思っていた頃もあるのよ？
10年近く前だけれどね、初めて男性と交わってから女性とすることになったのはそこそこ時間も掛かったし。

お礼を言われるようなことでも無いわよ。

あら、私は簡単に物に出来る男を引っ掛けたつもりでその実、悪い男に引っ掛かってしまったのかしら？

ま、家族である私にも分からないのだから他人の貴方に聞いても分かるわけがないわね。
一応育児放棄もされずにこの歳まで生きてこれたのだから、ある程度の愛情はあるのでしょうけど。

別に止めたりはしないわよ、何より私が我慢出来ないもの。
私の深みに嵌らないようにそこそこ気持よくしてあげるって事よ。

呱々。解りやすく耳も尻尾も隠しておらぬのに、忘れられておるとは寂しいのう。
いや、狐ではなく対等な異性として扱って貰っているのかや。それならば、喜ぶべきところか。

ん？　十分、楽しんでおるぞえ。
遊び慣れておる輩よりからかい甲斐もあるし、真摯に物事を受け止める態度には好感も持てる。
そなたはもっと、自分に自信を抱いてもよいのう？

そういうことよ。
男は男で、誇り高く、強く在らねばならず、自分の弱さを曝け出せぬ難儀な生き物であろ。
皆、平然とした顔の裏に何らかの傷を抱えておるのさ。それが、生きるということなのじゃろう。

……哲学みたいな話になってしもうたな。ま、儂の自信は実質その程度のもの、という話じゃの。

ん？　普通は、一揆に参加しておる限り、現地生物に襲われ続ける……のではないのかや。
最近は無い、とは。何か特定のエンブリオから襲われ続けていたとか、そういう話なのじゃろうか。

鍛冶に使える材料を精錬するのは、むしろ錬金術の守備範囲なのかのう。
じゃが今では、初期では考えられぬ高強度の装備が造られておるようではないか。

そなたも、いまや記憶を失う前より高い鍛冶能力が身についていたりして、の。

嘘はな、別に"つく"必要はない。黙っていれば相手が勝手に誤解してくれる。
情報が、持つべき者の手に渡らぬこと。これは、嘘よりよっぽどタチの悪い話よ。
フランメは口が軽い方とは思うが、あれで大事なことはなかなか口にせぬ堅さもあるように思う。

補われているような気配、か。……ふむ、それはそれで間違いないのじゃろうな。
儂も、奴から距離を置いて二度と関わらぬようにせよ、と云いたいわけではないし。

ただ、そなたは今や、ヴァルト＝ヴィントシュティレという一個の人間であることを忘れぬことじゃ。
記憶があろうがなかろうが、の。

さあ、始めましょうか

さて……やるしかないですね。

……さあ、“殺し合い”を始めましょう