ローバルの放った水流がフランメの視界からヴァルトの姿を掻き消した。

「おい、大将ォ！！無事なんだろうな！？」

フランメの声に返事はない。
が、水流が大きく渦を巻き、その場で巨大な球状へと形を変えた。非常にゆっくりとした動きで水の球は内へ内へと収縮されていく。


「あれは……ローバルの技……じゃねエみてエだな。」


呆気にとられるフランメと同様に、ブラックタイガーローバルも呆然としていた。
その場にいる一同が見つめる中、球状の水の中に人影が見える。それは紛れもなくヴァルトの姿だった。


「……ケケッ、どうやら上手く行ったみてエだな……。」


フランメが安堵の息を吐いたのと同時に、水の中のヴァルトはデバイスを手に取る。
見れば腰に装着したドライバーの中央に向けてローバルと、その体内に囚われているウンディーネの魔力が混じった水が収束されていた。
その水が、光を放ち始める。水中で発生した光は乱反射し森の中に青い光を散らした。
水は魔力の塊、強化外骨格の素材へと姿を変える。


『-Schmieden!-』


魔力は装甲へと姿を変え、ヴァルトの身を包む。炎をモチーフとしたフランメの魔力とは異なる、穏やかな水の魔力。
それが形作る装甲は、青い雫のような流線型をしていた。

収縮していた水球が、大きく膨れ、弾ける。


「……無事、変身出来ました。」


周囲に魔力の余波と水滴を撒き散らしながら、青い装甲を身に纏ったヴァルト——マスカレイダーシュミットが現れる。
その手には、腕と同じ長さほどの長銃が握られていた。


「心配を掛けましたね、フランメ。一気に片を付けます。」


シュミットは手にした銃をローバルへと向ける。
ローバルもそれに対抗するかのように砲塔に水を集め、巨大な水弾を発射した！


「———行きます。」


狙いを定めたシュミットは、静かにトリガーを引いた。圧縮された魔力が銃口から放たれる。
細く鋭い魔力の弾丸は正面から向かってくる水弾もろともローバルを撃ち抜いた。


……
…


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