「こんなもん……かな。」

ヴァルトはたった今自らの手で鍛えたばかりの槍を見つめる。
未だ記憶は戻らないが、感覚的に武具の鍛錬方法は覚えていたため今まで何度か武器を作っては来たのだが。
やはりそこはうろ覚え、性能も高いとは呼べないものであった。

「だけど……出来ない訳では無いか……。」

完成した槍を壁に立てかけ、ヴァルトは自分の手のひらを見た。
特にこれと言って特徴の無い、武骨な手だが、『記憶にない部分』でもきちんと動いている。
武器の作り方、防具の作り方、装飾品の作り方……頭では完全に思い出せずとも、それを補うかのように手が勝手に動く。
それは、作業中は助かりこそしたが、冷静になって思い返すと気味の悪いことでもあった。

「……やはり、思い出さないとな。」

自分は何故この世界に居るのか、過去の自分に何があったのか。
フランメというアニマのエンブリオは何故自分に憑依できるのか。

様々な疑問が、ヴァルトの中で渦巻いている。

「今は、足を進めよう。この先に、俺の記憶のカギがあるかもしれない。」


壁に立てかけた槍を手に取り、ようやく馴染んできたタンポポ荘の自室を後にする。
進む先にある物は、果たして自身にとってどの様な変化を与えるのだろう、とささやかな期待を胸に。


※次回の日記はPL事情によりありません※
※カロス地方のポケ〇ンリーグを制覇した後、日記を書きます。※

何の警戒も無く付いていく
暫くすれば、艶やかな声が聞こえてくるだろう

そう身振り手振りで説明する。

眼前の鎌に、意識を向ける。

そう言って、柄をヴァルトの方に向ける。
受け取るならば、見た目以上の重さがその腕にかかるだろう。

そう言いながら、シロは身振り手振りで
鍛冶師の真似をしてみせる。

修練を重ねれば、必ず錬金術を極められる——と言われて、
ミルフィーユは少し笑いながら、胸を張る。

強い、と言われてシロはにへら〜と笑い、尻尾をパタパタと振る。
その様子に呆れるミルフィーユだったが、彼女らにとっては
こういうやり取りが、常のようで。

そう言いながら、シロは屈託のない笑みを浮かべた。

　不満げに唇を尖らせて拗ね。

　視線をエンブリオの方へ向ける。
　妖怪故に不定形タイプを見慣れているせいか、驚くこともなく。

　飴を無邪気に喜ぶウンディーネを撫でようとして、うまく撫でられずに肩をすくめた。