平原を大勢の兵が行進している、その中軍くらいだろうか、二人の姉妹が馬に乗りながら
話しているようだ…

「はぁ…一揆鎮圧戦が初陣…しかも、隣国の一揆が略奪目的で、
うちの領内に来たっていうじゃない…」

「うん、そうみたいだね」

「そもそも、あの一揆なんて
内政の失策っていうより、旧領主と新領主の争いで利用されてるだけじゃないの
兵糧が不足したからって、うちに喧嘩売る無能なやつ相手とか、なんだかなー
もっと、こう立派な敵と戦いたい！！」

「ほらほら、そんな事言わない、これも領民を守るための大切な役目なんだからね？
どんな相手でも、しっかりと戦う、戦でやる気無いような事言う子は、
お姉ちゃんが許さないぞ、ふかー！！」

「…ご、ごめんなさい、私、頑張るから！！ね？」

「よしよし、この戦いが、文の初陣なんだし、お姉ちゃんも張り切っちゃうぞ！！」

「お姉ちゃん…なんかお父様とじぃの目線が痛いよ…」

「んー・・・・なーに問題なし！！」

「いやいや！！絶対ダメだと思うよ！！」


・・・ん？夢か、懐かしい夢ね。私の初陣の時とはね・・・
そういえば、森であったクリスとグレンダ二人の少女にあって
二人に、なぜ文はこの世界で一揆に参加しているか…
そういえば、私は気がついたらこの世界にいたけど、ここに来る直前
私は、何をしようとしてたんだろう…
んー…どうやら、この世界に来る際に記憶が、少しないみたいね…
だから、どうやってこの世界にきたか覚えてない…そいうことかしら

だから、脳が記憶を呼び戻そうと、この夢を？
あの二人の少女との話が、引き金に…なって記憶を呼び戻そうとしてるのかしらね
過去にさかのぼって…
んーー…なんだったんだろう…私のこっち来る前の記憶って

わいわいぎゃーぎゃー

ん？

どんがらがっしゃーん

ルミナの無言の腹パン！！

…まったく、騒がしいなうちのエンブリオは…はぁ…
ま、なんだったんかは深く考えないでおきましょう…
そう、いずれ時間が来れば思い出すわ…それがいいことだったのか悪いことだったのか…
それはいずれ・・・ね

夜、別れて行動していた文たちが再び合流し、パーティーメンバーが寝静まった頃。
眠れずにいた君のテントに白雪が訪ねてくる。

白雪がこんな夜更けに訪ねてくるのは珍しい、と思いながらも君は起きている旨を伝え、テントに入ってくるように促した。

今日はまた珍しいこともあるものだ。
普段は何かを疑問に思うことも少なそうな白雪が。

ふらふらと、「クリス」が上下左右にゆれ動く。
どこか陽気さを感じさせる揺れ方だ。

そこまで「言う」と、目の前の「クリス」が宙に集まる。
ぐるぐると渦を描き、糸人形のように集まり……

明るい未来について話そうとしたクリスの口が、
ぼんやりと開いたままになってしまう。

つい先ほどまでアヤと話していたクリスが、完全に動かなくなった。

そして、「それ」はただ静かに観測を開始する。

ここで出会った時を思い出したのか少し気まずそうに聞いた。