闇、闇、闇　　真っ暗な闇の中

笑い声が聞こえる


ああ、夢か。そう思うけど、気に障る笑い声だ……。


やっぱり、無理なんだと、滑稽だと笑う声が聞こえる。


そんなことない！

自分はまだあきらめていない。
あの子もまたあきらめていない。
自分の願いも叶う。
あの子の願いも叶う。


どうしたら願いが叶うのかもわからないくせに


そんなの関係ない！
ボクは自分の姿を取り戻す。


自分の姿を取り戻す？　思い出したのか


そうだ、ボクは、自分の姿を取り戻して、記憶を取り戻すんだ！


どうやって？


契約を取ればいいんだろう？
ボクが！


でもあの子がなにをしたかも知らないくせに？


え、なに？　ボクが何を知らないって……？



はっとして、目を開けると、目の前には、人間の少女がいた。
「スフィア……？」
気がつくと、ボクの体は傷だらけで、スフィアの手には水に濡らしたハンカチがあって。
ボク、気を失ってたのか……。
スフィアもケガをしていたのに、先に気がついて、ボクのことを……
「スフィアが手当してくれたの？」
こくり、と小さくうなづく。
「ごめ……ありがとう。
イチジクも、」
待たせてごめん、と声をかけようと振り返ると、
そこには、地面に横たわるイチジクの姿があった。

イチジクは目を覚まして　なかった。

＜Eno.1149　九の日記へ続く＞

おでこの辺りを撫でられて「えへへ〜」とでれでれ笑いながらありがとうもう一度言った