*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・

親愛なるお父様、お母様へ
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
お変わりなさそうでなによりですわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
…最近、王の影響のせいなのか、
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
不穏な噂を多々耳にすることがありますけれども…
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

王の不安は、この王城近辺では特に高まっているようですわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
みな武器を手に、あるいはエンブリオの力を手にして
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
王を打ち倒そうと躍起になっているようですわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

ネクターを独占しているというウワサは、どうやら本当なのですね。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
家の中に居たままならわからなかったことですわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
知らなかったことが色々と分かるようになってきて、
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
旅の面白さというのは、
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
こういうことなのかしらと思うようになってまいりましたわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

それでも、お母様が与えてくださった課題を、
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
クリアするための材料はまだまだ集まりそうにありません…
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

私の持っている金銀宝石よりも美しい原石は見当たりませんし、
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
私の持っているドレスよりも艶やかな生地はどこにもなく、
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
私の使っている化粧品よりも質の良い物は、物資不足で存在致しませんし、
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
家で食べていた食事よりも豪華な食事もありませんわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

こんな環境で、お母様の課題をクリアして
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
無事に家に帰ることが出来る日が来るのか、不安ですの…。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

やはり、物資を独占している王をどうにかするしかないのでしょうか。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

そうそう。
‾‾‾‾
…彼の、葉月の事については、近いうちに本人に問うてみますわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
あまり、自分から自分の事を話そうとはしないみたいですから…。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

それでは、長くなりましたが今回はこれで失礼いたしますわね。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
また、お手紙いたしますわ。
‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

　　　　ミルフィーユより
　　　　‾‾‾‾‾‾‾

*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・*:.。..。.:+・゜・


………


……………………


…………………………………

高価なビロードのサーコートを羽織った貫禄のある男が、
手にしていた家紋入りの手紙を何度も愛おしそうに読みながら
そばにいた若い従者に声をかける。

手紙からはふわりと甘い香りが漂った。
それは、ミルフィーユが普段から愛用している香水の香りである。

ローズウッドの、深く重厚な椅子に腰を沈める男。
そう、彼はミルフィーユの父親である。

娘からの——それは愛おしい一人娘からの手紙ではあるが、
その表情は曇っていた。

言いにくそうに、申し訳なさそうに頭を下げる従者。
その言葉に、男は目を閉じる。

従者は折目正しく一礼し、静かに部屋を去った。

彼女の直筆の手紙をまた、読む。
彼女が無事に旅をしている。
この空の向こうで、生きている…

手紙が届くたびに、そう思えるだけで幸せだと、最近思うようになった。

物想いにふけっていた男の目が、静寂を破る声にゆっくりと開かれる。

音もなく男の前に現れたのは、女性かも、男性かもわからない妖艶な人物。
難しい顔をする男の前で、その人は、
派手な衣装をヒラヒラと揺らしながら満面の笑みを浮かべていた。

教え子——
その言葉に、男はローズウッドの椅子から立ち上がり、窓辺へ歩む。

男は大きな窓から見える、広大な庭をぼうっと見つめる。

妖艶なその人は、ヒラヒラと手を振りながらのらりくらりと話をしている。
そんな様子を見ながら、男はぽつりとつぶやいた。

はあ、と深いため息をつく。
端正な顔の眉間に、ため息以上に深い溝が刻まれていた。

その人の一言にまた一層、眉間のしわが深くなる男。
ふーーと、長く息をついてから、重々しく口を開く。

男のその言葉に、待ってましたと言わんばかりにその人は笑う。

そういうが早いか——
その人は、現れた時同様に音もなく消え去った。

あとに残された辺境伯は————


ただただ、彼女の無事と、この先の暗雲が晴れることを祈っていた。

文献で見た錬金術士というのは、
もっと頭の良さそうな者しかなれない職業だった気がするが、と零し。

と少女は笑って二人のやり取りを見ている

と少女は笑って両手剣を「片手で」軽々と振り回している

ギルドメンバーと分割しているときは、葉月が料理をする。
葉月が料理中、突然シロから質問が来た。

（キミたちも一揆参加者だろ？などと、泣き叫ぶあなたに対しそんな的外れな指摘を笑顔でかます。
もちろん変態呼ばわりされたことなど気にかけていない。その程度の罵倒は言われ慣れている。否、言われ慣れていなければこんな性癖など持っていられないだろう。その方向性はともかく青年の精神面は無敵だ。）

（そしてそのあなたが口にしてしまった欠点を、わざわざ振り返って——こちらに背を向けて確認した。
見ないで済んでいた程よく引き締まった背筋と臀部があらわとなる。見せる筋肉のように隆起してはいないものの、使う部分だけが鍛えられた実用的ないい筋肉だ。）

（何か合点がいったのか、青年は目を細めゆっくりとあなたに近付いてくる。
とっさに後ろに引くあなた。しかし背後には木がそびえ、それ以上は下がれない。
そんなあなたを追い詰めるように片方の手を木につけ——所謂『壁ドン』の状態だ——青年は顔を近付け、こう言った。）

（この距離まで近付いて初めて気付いた、その青年の整った顔立ちは口許こそ笑みが残っているものの真剣な眼差しをしていた。
瞳の赤はあなたが見てきたどんな宝石よりも輝いており、左頬の碧い刺青と共に女性ならば誰もが羨むような白い肌によって引き立てられ神秘的な印象を与える。銀髪は風に揺れ、きらきらと輝いていた。）

（——と、ここだけ切り取れば『神秘的な面持ちの青年に、突然言い寄られた美少女の図』が成立するだろう。
しかし思い出して欲しい、彼の服装を。そもそもこうなった原因を。
どうしても思い出せないならば少し視野を下げてみるといいだろう。責任は取れないが、いい気付けになるかもしれない。

そう。正しくは、『裸エプロンの青年に、突然言い寄られた美少女の図』なのだ。）

全然気づいていなかった、と言わんばかりに苦笑を浮かべる。

自分とはまた違った「作る技術」を持っているのか、と興味深そうにミルフィ達を見ます。

もしかしたらその鎌は、地域によっては珍しくない趣向なのかも、と内心で考えつつ。

鎌が食べられないと聞き、少しだけ残念そうな表情になった。

だが売り物のお菓子を見て一転して目を輝かせた。

おそるおそるという様子で値段を尋ねた。

と、辺りに漂う甘い香りが気になったようだ。

と、機械仕掛けの発動機を見せる。

めっちゃ喜んでる。
ラッピングしてあるとはいえ今すぐにでも開けて食べてしまいそうだ。

長刃を振り、血を拭った。