星屑の小川、枯れた土地、そして城の広大な庭を偵察する事で得られた情報は殆ど無かったと
言っていい。我々の前に立ちふさがったのは、いずれも話の通じぬ野生生物やエンブリオ、そして、
亜人種のみであり、そのような相手から情報が得られるべくもなかったのだ。だが、何も収穫が無い
訳ではなかった。新たなエンブリオ。それに、我が身についた錆をを連日の戦闘によって払拭する
事が出来た。新調された装備も良く馴染む。ネクターも、微量ではあるが毎日確保する事が出来て
いる。だがやはり足りないのは、情報だ。

　雇われでもない限り、反攻に参加している者の目的は一様に王の首だろう。誰かが王を倒せば良
いのだ。しかし、王のエンブリオに興味があるのであれば話は別だ。もしそれが代々の王に受け継
がれていくものであるならば、王の首を獲るその場に居合わせなければ契約の機会は訪れないで
あろう。だからこそ、王の座す城へ短絡する通路、その情報が喉から手が出るほど欲しているのだ。

　人間でありさえすれば多少の情報は得られるはずだ。王に組する者との会敵を望むのであれば、
正面から進攻するのが最良であろう。つまり、昨日に引き続き庭を邁進するのは私の希望とも合致
していた。早く、下っ端の兵士でも良いから締め上げて情報を得たい。そう思っていた矢先に我々
の前に立ちふさがったのは黒い鎧を着た男たち。人を虫けら呼ばわりし、問答無用で襲いかかって
きた彼らは、まごうことなき王に仕える兵士達。望んでいた相手との遭遇に心が弾んだ。

めくられる前にスカートを押さえ