ENo.98 神代真紀

「[若、おかえりなさいませ」
「おつとめご苦労様です、若」
ドスの聴いた挨拶が、淀みきった店内にこだまする。
組長の膝元に集うメイドたちが、今日も悪魔のような下卑た笑顔で、シャバに戻った男たちを迎え入れる。
穢れに染まった心身に包むのは、武器を満載したメイド服。
スカートのプリーツはハジキがはみださないように、白いエプロンは返り血を浴びないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。もちろん、鉄砲玉で返り討ちになるなどといった、使えないメイドなど存在してようはずもない。

マジカル冥土喫茶「仁義なき盃（ミルク）」
設立間もないこの喫茶店は移動式の喫茶店兼テキ屋である。

広域指定魔法暴力団、油目組は娑婆のサーヴィス業にもその手を広げていた。
神代美紀は組内外でもその名を知られた切り込み隊長である。

対抗勢力である邪法暴力団真言立川組との勝者なき大規模な抗争も終結し、
任侠の世界は魔法ネットワーク投資・魔導科学振興などの経済戦争の時代に突入していた。

新たなシノギを求め、各自が切磋琢磨する中、彼女が取ったのはマジカル冥土喫茶。
「任侠を重んじる礼儀作法、血で培った魔術の知識があれば、必ず客商売は成功する。」
次期若頭候補とも噂された彼女は、そう組長に告げ魔道・冥土道を極めるための修行に出たのであった。

名前：神代真紀
性別：女
特徴：目と鼻の間に大きな斬り傷

太ももにハジキ。ドスはエプロンの中
般若の刺青。刺青はマジカルヤクザの力の源である。
ボンキュッボン。

本人は至って真面目に任侠道を貫いているつもり。
天然のきらいがあり、冥土喫茶を開くと言い始めたときには若い衆が総出で止めようとしたとかしないとか。

武器：D.O.S.
ダイナミック・オトコギ・サーキットと呼ばれる魔導ギアである。
魔術を帯びた短刀に各種紋様を刻むことにより、詠唱することなくある程度の魔術効果を発揮する。

自由：破神鬼
別名「血夜火」とも。古より伝わる遠距離魔導ギアである。
魔術サーキットを施された銃器は威力を上げつつも小型化に成功。
読んで字の如く、神を鬼をも破壊するとも、夜空を染め上げる血と銃火とも呼ばれる火力からこの名称が与えられた。
近年はその技術が伝播し、巷ではあまりに酷いネーミングの為もっぱら魔銃と呼ばれる。
通常の銃より威力があるとされるものの粗製濫造される物が多く、使用者の魔力に左右されるため命中率や威力はマチマチ。
魔力をもたないものにとってはただの拳銃である。

体防具：冥土服
スカートのプリーツはハジキがはみださないように。白いエプロンは返り血浴びないように立ちまわるのが冥土の嗜み。

装飾：サラシ
機能性・防刃性を考慮し魔力を帯びた反物で編まれたサラシ。
ふんどし替わりにもなる。

世界単位協会が一員、パーセクを司るが本人に自覚はない。
時折、決め台詞が「パーセクト！」になる程度である。
本来は光年単位よりも長い距離として飽きなく前へ、未来へと突き進む生命に宿る可能性である。
自覚がないので決め台詞が変わったり、刺青が巨大に見えたりする、程度。

真紀の影響でパーセク単位の力を得た存在に、この世界での主人を探し求めるアンジニティ側の脳味噌天使、もぷー（192）が居るが真紀は感知していない。