「───これでヨシ…っと」

大きな、掲示板らしき板張りに幾つかの張り紙を貼り終え、黒尽くめの少年は満足げに腰に手を当てた。
まだまだ情報は少ないが、出だしとしてはまずまず。こんなものだろう。
板張りの角から伸びたロープには無数の鴉が止まり、その中でも一際大きい三つ足の鴉が禍が月のように赫い目を光らせて空を舞う。

ふと、通りを行き交う冒険者らしき一人が張り紙に目をやり足を止めた。


「らっしゃい、アンタも誰か探してる？それならチョットは役に立つかもよ」

ニカッ───、と邪気なく笑う少年の腕に羽音を立てて大鴉が止まる。


「えーと。とりあえず、探し人の特徴とか情報書いてソコ貼ってくんない？」


　　　　　　　　　　　　　　†　†　†


　　　【　失せモノ探し屋　】
失せモノ探し───と言っても、探偵のように契約し依頼された人物を捜す組織ではありません。
なんというか、所謂尋ね人の情報交換を目的とする相互協力体のようなもの？です。

探し人のある人は、掲示板にその特徴や名前などを書き入れ、情報を求めます。
絵心のある人は似顔絵を描くかもしれませんし、自分にとってどんな相手で、何故その人物を捜すのか───といった踏み込んだことまで書く人もいるかもしれません。

メンバーは各行動する地で「張り紙にあった、●●さんの探している人に似た人物を見かけた（または）噂を聞いた」等情報を得た場合、速やかに【失せモノ探し屋】へ話を寄せていただき、更に探し屋の伝書鴉を通じてその情報を欲する相手へ伝えられる仕組みになっています。
あくまでも伝聞ですので、正確な情報は得られないかもしれません。
悪意を持ってガセネタを流す訳でなければ、多少信憑性の低い情報でも遠慮無くお寄せ下さい。
皆、藁にもすがる思いで誰かを捜しているのですから───。


つまり、仲良く失せもの探しの協力し合おうぜ───ってこと(= ﾟωﾟ)ﾉ

ザギ(1535)からのメッセージ：
ザギ「えーっと、とりあえず今週入ってきた情報の整理な。
───つっても、噂話レベルなんだけどさ( ;ﾟ∀ﾟ)ゞ」
ザギ「まずは〜…、ハチの探してるのに似たヤツの目撃情報が入ってんぞ。
なになに、『Hの［1d19：4］ と Jの［1d17：13］で、茶色い髪の女が暴れてた』…って、コレ女賊じゃね？？(・ω´・;)？」
ザギ「ま、まぁ茶髪に翠い目の女って、結構たくさんいそうだから……ガンバレ（肩ぽむ）」

ザギ「そういや、オレが探してるヒトの情報って見せてなかったよな。なんつーか、こう…特徴書き出すのが難しいんだけど」
ザギ「（あらためて手配書？にヘタッくそな似顔絵と人相書きを書き始め）
『男ででっかくって髪が長い。色は黒。オレと同じみたいな翼もあって、コレも大きい…静かだけど恐い人。黒い焔をつかうんだけど、その焔は火なのに津波みたいで…───』」
ザギ「なんか自分で書いててワケ分かんなくなってきた…。
誰かまとめキボンヌ φ(･ω･`;;)」
大鴉「（ごつっりザギのデコに嘴たたき込み）もしもーし、脳ミソお留守ですかー。（棒読み
ってか誰だ、こんなアホの子に生んだのは！」

＞ハチさん
大鴉「俺の名前か。そうだなぁ───取り敢えず“ビショップ”と呼んでくれ。身内ではそれで通ってるからな（頭グリグリ）」