ENo.2845 水瀬　ひな

不思議な夢を見た。
　　　　　　退屈な日々
　　　　　　　　　　　　　　　　偽物の島
　　　胡散臭い招待状　　　　
　　　　　　　　　　　　孤島と財宝
7つの宝玉
　　　　　　　　　　　　　　　　暴走する遺跡
　　　　　
――――――そして　
　　　　　　　　　　　　　希望と、絶望。

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ　ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ
携帯のアラームが部屋に響いた。

ひな「う、んっ・・・」

無視して寝直そうかと思ったけど、徐々に大きくなる音に私は根負けした。
諦めて布団からゆっくりと腕を出すと、携帯を手探りでアラームを切る。

カーテンを開けて朝の太陽に背伸びをひとつ。
新しい朝が来た。
希望があるとすれば、早く元の世界に帰る事。

画面に表示されている時刻は、「焔の月 2日目　9:03」

この見慣れない日付は昨日、このセルフォリーフという世界に来てから表示されるようになった。

事の発端は、アプリについていた広告。

「世界を救ってみませんか？」

という胡散臭い謳い文句に乗ってしまったこと。

今流行のソーシャルゲームかと思って暇つぶし程度に開いたのが間違いだった。

キャラクターのステータスや技能を入力して、登録を押した瞬間、見知らぬ街に居た。

雑踏の中には目が痛くなるほどカラフルな髪をした人達や、作り物には見えない精巧な角や翼をつけた人、そして、明らかに人間ではない形状をしたナニカが当然のように道を闊歩していた。

呆然としていると、携帯にメールが届いた。

「やぁ、躍動の世界：セルフォリーフへようこそ。
この世界は今、滅亡の危機に瀕していてね。
難しい事は要求しないよ、ただ異常成長してしまった動植物を駆除してくれればいい。
この世界に呼ばれた人には固有のナンバーが割り当てられる。
君の識別番号はここでは「ENo.2845」だ。
それと、支援の一環として宿と食糧は無料で使えるようになっている。安心して使うといい。」

これが、昨日の出来事。
とりあえず近くにあるアップルさん退治というのをやってみよう。
報酬も少ないし腕試しにはちょうどいいでしょ。

勝手に連れてこられて、助けを強要してくる世界。
こんな世界、滅んでしまえばいいと思う。
けど、今朝の夢がどうしても引っかかる。

今度は、ちゃんと終わらせてあげたい、と。

当面の目標は、とりあえず力をつけること、かな。