ENo.3016 滝宮姉弟

傭兵「ドネスクに着いたな。ここまで送って貰えれば十分だ、助かったよ。」

ハネズ「本当に、ここからはお一人で大丈夫ですの？」

傭兵「問題ない。こう見えても少し前までは一人でやっていたからな、寝る場所さえありゃなんとかなるもんだ。」

スオウ「そうか。そこまで言うのならば、これ以上心配するのも野暮だな。」

ハネズ「長いようで短い間でしたのね。お力添えありがとうございました。」

傭兵「世話になったのはこっちだ。まったく、逞しいな・・・お嬢ちゃん達は。」

思えば、傭兵さんのおかげで様々な難所も切り抜けられたような気もします。

人狩りも彼が居たおかげで人数的なプレッシャーも与える事ができましたしね。

動物相手でも前線で頑張ってくれました。

傭兵「さて、長話をしてると変な輩に目をつけられる。お暇させてもらうよ。」

ハネズ「はいな、お元気で。」

スオウ「また、どこかで会えるといいな。」

傭兵「じゃあな。」

・・・行ってしまわれました。

結局、お名前すら名乗ってくれませんでしたのね。

野宿の時も一人で外でしたし・・・彼なりに気を遣ってくれたと思いますの。

さて、この荒れ果てた街で買い物―――の前に。

スオウと相談すべき事があります。

ハネズ「ところでスオウ、相談がありますの。一緒に下着を作りませんか？」

スオウ「下着を？」

ハネズ「ええ、スオウの器用さならきっとできると思いますのよ。」

スオウ「それは構わないが・・・随分と突拍子もない話だな。」

ハネズ「その、皆さんの下着を新調していい頃かと思いましてね。複数枚、手元にないと長期行軍では換えられませんし。ついでに、他の冒険者の方にも需要があるので売買も可能だと思ってますのよ。」

スオウ「なるほど。だが、ハネズ一人じゃダメなのか？」

ハネズ「えっと、スオウの分や男物の下着はスオウが作れた方が良いと思いませんか？」

スオウ「ふむ、それは一理あるな。傭兵さんはもういないが、いつどこで男が加わるかもわからないからな。それに外部からの依頼という可能性だってあるかもしれない。」

ハネズ「ええ、それでは一緒に練習しましょう♪」

・・・・・

ハネズ「――というわけで、下着を見せていただけませんか？」

レディカ「へっ、へんたーい！」

ハネズ「えっと・・・説明、聞いてました？レディカさんに合う下着を作る為、デザインの確認と採寸をしたいのですが。」

レディカ「え、下着を、ですか？」

ハネズ「ええ、特にレディカさんは着の身着のままでアンジニティに謎の力で飛んでしまったのでしょう？替えの下着はある方が便利だと思うのです。」

レディカ「そ、そうだったんですか！あたしてっきり、ハネズさんがそんな趣味なのかなって！」

ハネズ「さ、さすがにそんな趣味はないですのよ（その可能性があるように見えるのでしょうか・・・？）」」

レディカ「えっと、えっと・・・下着を見せるって、どうすれば・・・？」

ハネズ「ついでに洗濯をしますから、脱いで渡してくだされば結構ですのよ。」

レディカ「ぅ、でも一週間くらい履いてましたし、その・・・。」

ハネズ「・・・スオウが回収しに来た方が良かったでしょうか？」

レディカ「いっ、いえっ！今すぐに渡します！」

さすがに乙女の反応は素直です。

意中の人に一週間も履いた下着など手渡したくもないでしょうし・・・ね。

ハネズ「洗濯している数時間の間はこのフリーサイズの下着をどうぞ。見た目は悪いですが・・・どなたでもそれなりな着け心地ですので。」

レディカ「はぁい。うぅ・・・スースーする。」

ハネズ「それと、上半身の下着もお願いしますのよ。」

レディカ「え゛・・・そっちもですか？」

ハネズ「上下セットで合わせないと不自然ですし、胸囲やカップ数なども個人差が大きいものですからね。できれば毎日替えたいでしょう？」

レディカ「むー、仕方ないですね。あ、新しく作っていただけるなら色の指定とかしても良いですか？」

ハネズ「ええ、むしろそちらのが助かりますの。」

さて、あとはクロネさんとレニーさんの分も回収しないと。

彼女らは替えの下着くらいはあると思うので、そちらを回収した方が早そうですね。

・・・・・

スオウ「おかえり、回収はできたか？」

ハネズ「えぇ、無事に。一部はまず洗濯をしないといけませんが・・・。」

スオウ「それは良かった。しかし、下着一つといっても侮れんな・・・上半身のアンダーウェアはまだいいが、下半身の方でここまで苦戦するとは思わなかった。」

ハネズ「そうですねぇ・・・特に下半身にフィットさせるには、単純な形では履いた時に違和感が残ります。立体的な造形なので、作るのも大変ですし。」

スオウ「ま、少しずつ覚えていくしかあるまい。」

ハネズ「その意気です。一緒に頑張りましょう。」

スオウ「ところで、ハネズは四人分も大変だろう？俺に何か手伝える事はないか？」

ハネズ「大丈夫ですのよ、全員似たような体型ですし・・・じゃなくて、彼女らも異性であるスオウには下着も知られたくないでしょうからね。」

スオウ「・・・それもそうか、大変だな。」

ハネズ「そのつもりでスオウには男性用のをお願いしたのですから、お気になさらず。」

スオウ「ハネズも俺に見られるのは嫌なものか？」

ハネズ「い、嫌と言うかっ・・・別にそういうわけではっ・・・スオウには余計な手間をかけさせたくないですしっ。」

スオウ「手間なら気にしなくて良いぞ？効率的にも俺が二人分、ハネズが三人分の方が良いからな。」

ハネズ「そ、そうですのねぇ・・・。」

な、何て事を言い出すんです！？

そんな正論を言われたら許可を出さざるを得ないじゃないですか！

下手に否定するとスオウを傷つけてしまいますし・・・！

スオウ「ま、ハネズの問題だ。嫌なら嫌でそれでいい。」

ハネズ「そっ、そんな事ありませんのよ！？む、むしろ歓迎と言うか・・・えぇと・・・。」

スオウ「ん、そうなのか？やはり四人分は大変だったか。ただでさえハネズは毎日忙しいんだ、無理はするなよ？」

ハネズ「はぁ・・・ありがとうですの・・・。」

スオウ「では、ハネズの下着を貸して欲しい。それを模倣すれば同じ物を作れるからな。」

ハネズ「はいな、これと・・・これで上下ですの。」

・・・母譲りでバストサイズが残念なのですが、他の女の子と比較をされないだけマシなのでしょうか？

これ、自分の体格を知られるみたいで本当に恥ずかしいのですね・・・。

スオウ「よし、明日までにこれと同じものを量産しておく。色の指定はあるか？」

ハネズ「えっと・・・スオウが魅力的と思う色なら、私はそれで・・・構いませんの。」

スオウ「難しい注文だが、善処する。」

な、なんか変な話ですのね！

・・・まぁいいでしょう、私は私で同行者の三名の下着を作らないとです。

あらためて、エミーのバストサイズには恨みたくなるほど憧れますね！