メディア(2158)からのメッセージ:
メディア「さて、と。
今回は西洋における『慣習法の変動』についての話をしましょう」
メディア「慣習法とは、『ある社会、政治集団において社会的行為の繰り返しによって強制力を獲得し相当に長い期間異議を申し立てられなかった法レベルの慣習の総体』の事です。
と言っても、これだけではわかりにくいですね!」
メディア「もう少し噛み砕いて説明しましょう。
まず、慣習について。慣習とは、多くの人が従う行動様式の事です。
強制力はありませんが、人々はこれを共有し、これに依存しつつ生きています」
メディア「しかし、慣習が力を増すにしたがって『それに従わないと何らかの社会的制裁が加えられる』……つまり『強制力を持つ』慣習が出てきます。これが慣習法です。
慣習法は、古い方が無条件に優先されました。
『昔からそうだった』と言う事が、法の正当性の保証であるとみなされていたからです」
メディア「慣習法は上位の価値基準、古き良き法、人間の理性よりも上である、と考えられていました。
故に新しい法で上書きする事は許されず、変更できない……と、されていました。
しかし、実際は激しく変動していたのです」
メディア「まず、伝承の過程における変動。
慣習法は、ほとんどの場合成文化されませんでした。
記憶や口頭による伝承は、当然ながら容易に変質してしまいます。
また、裁判において誤った運用をされたものがそのまま定着してしまったりもしました」
メディア「次に、実力による変動。
王や領主が新しい法を無理矢理押し付け、時が経つうちに慣習法として定着してしまう事がありました。
また、法の押し付けが紛争まで発展し、実力により解決された場合『神によって正しさが証明された』としてすぐに正しい法と認められる事もあったそうです」
メディア「最後、文書の改竄による変動。
これは、文書にあらゆる事を記録していた教会において主に発生した事例です」
メディア「慣習法については、文書よりも人の記憶の方が優先されていました。
もし文書の内容がその人の記憶している法と食い違う場合、『法は神から与えられたもので神聖である。目の前にある文書には明らかに間違った事が書かれており、これは不正に捻じ曲げられたものである。浄化しなければならない』と言う理屈で文書を書き換えていたのです」
メディア「彼らに罪悪感は全くありませんでした。
『王がAと言う者に土地を贈与した』と書かれている文書なども、『王が修道院を差し置いて俗人に土地を贈与する筈がない。文書はあるべき姿でなくてはならない』として『王が修道院に土地を贈与した』と書き換えるような事が当然のように行われていました。
中世においては、過去に対する忠誠から、過去を『あった姿』ではなく『あるべき姿』として書く事が目指されていたのです」
メディア「そんな曖昧な形で人々の上に君臨し続けた慣習法ですが、やがて『教会自然法』と『ローマ法』の台頭により弱体化していくのでした」
メディア「今回も取り留めの無い内容でしたがこれまで!
まだちょっとネタを練る時間がありません……」