ENo.938 ジェミニ=スターリィナイト

前回のあらすじ。

とある森の中にて、アップルさんを補足したジェミニ達。
そのあまりの迫力に怖じ気づきそうになるも、一同は初めての戦闘に突入する。
途中で司が気を失いそうになりながらも、一同は3体のアップルさんの打倒に成功。
しかし、アップルさん達の様子がおかしい……と思ったら。

「あんた、なかなか気にいったぜ……どうだ、俺を仲間にする気は無いか？」
「ジェミニ様の美しさに心打たれました、是非とも俺を一行に！」
「俺も俺も！ついていかせてくだせぇ！」

ジェミニ「Σな、何かついてきてるよー！？」

……なんと、倒したはずのアップルさん達が立ちあがり、ジェミニと共に旅をしたいと申し出たのであった……

第3話:出会いと、別れ

ジェミニ「えっ！？なに！？なんでおきあがってるの！？」

「ど、どういうこと……！？確かにとどめは刺したはず……！」

「何が起きたのかは分かりませんが……不思議と、敵意は感じません」

「敵意を感じないということは……少なくとも、今は安全ということ？」

「そうなりますね。……油断は出来ませんが」

「おいおいお前ら、さっきから俺達を邪魔者みたいに扱ってるが……」

ジェミニ「いやさっきまであんたと戦ってたし！？」

「……そうだったな！これは一本取られたぜ！はっはっは！」

「……とりあえず、街まで戻る？」

「……そうしましょうか」

ジェミニ「そーしよっかー……このひと(？)たちも引渡さないといけないしー」

「兄貴、とりあえずついていきましょうか！」
「おうよ！お前らついて来い！こいつらを護衛するぞ！」
「「合点承知！！」」

ジェミニ「(なーんか調子狂うなぁ……)」

(ああ、頭が痛い……)

アップルさん達のおかげなのか何なのかは分からないが、
道中特に危険も無く。一行は無事、スティルフの街まで辿りついた―

―スティルフの街―

「……というわけで、これが回収要請のあったリンゴ(？)3個(？)です……」

「おおっ、君達か！リンゴを捕まえてくれたのは。感謝するよ。これは報酬。取っておいて」

「こんなに、いいのですか……？」

「まぁ、売り物のリンゴはこの通り変質してしまったけど……大した怪我人も出なくて、本当に助かった」

「それで、この方たちはどうすればいいのでしょう……？」

「ああ、これらは……普段依頼を出しているギルドがあるから、そこに引渡しておいてくれ」

「分かりました。ほらジェミニ、行くよ」

ジェミニ「はーい！」

―スティルフの街冒険者ギルド―

「はい、次の方。……冒険者登録ですね。3番窓口へどうぞ」

ジェミニ「ふえー……」

「かなり大規模な施設ですね。こういうのは見たことがありません」

「そうね……それで、どこに引渡せばいいんだろう」

「こんにちは。スティルフ冒険者ギルドでございます。本日は何の御用件で？
……ちょっと待ってください。後ろにモンスターが……もしや、ペットのご登録ですか？」

ジェミニ「ぺっと？」

「もしや、ペットを御存知で無い？」

ジェミニ「しらないもなにも、はじめてきいたよー」

「同じく」

「私も初めて聞きました」

「なるほど……見た感じ、あなた方は冒険者登録もお済みで無いようですね？」

ジェミニ「ぼーけんしゃ……とーろく？」

「ひとまず、3番窓口までどうぞ。詳しいお話をさせて頂きますよ」

説明中……

「と、いうことで。魅惑の術を持っている方は、戦闘終了後に倒した敵を仲間にすることが出来るのです」

ジェミニ「そーなんだー……あたしは単に敵を魅了するだけのものかと」

「でも、元々敵だったのをこき使うんでしょ？……安全性とか、大丈夫なの？」

「それを防ぐための冒険者登録、そしてペット登録ですよ。ペットの持つ危険性に関しては、我々も承知しておりますゆえ」

「なるほど……」

「今のジェミニ様だと、1体までペットの所持が可能ですね……
ふむ。丁度いい、後ろのアップルさんをペットにしてみませんか？」

「な、なんかわからねぇが……俺達の中からついていけるのは1人だけ、ということか……」

「そういうことになりますね、残念ながら」

「あ、兄貴……！」
「……ジェミニ、選んでくれ。俺達の中から、誰を連れていくかを」

ジェミニ「……それじゃあ、いちばんおにいちゃんので」

「「兄貴！」」
「……みなまで言うな。いつかまた、再開できる日が来るだろう。その日まで……達者にな」
「「……はい！」」

「えーと、盛り上がってるところ申し上げにくいのですが……」

ジェミニ「なぁに？」

「……近年の治安悪化もあり、ペットに出来なかった方は即刻処分という形を取らせて頂いているのです」

「「「えっ」」」

「……まぁ、予想は出来ましたが」

「運命って……残酷ね」

「……まぁ、これも運命。受け入れるしかないな」
「ああ、兄貴……！俺達の分まで、頑張ってください！」
「分かってる……お前達の分まで、ジェミニを護りぬいてやるさ」

「……それではお二方、こちらへどうぞ」

「「……覚悟はできてる」」

―『処理室』と書かれた部屋から、甲高い金属音が響く。
それが鳴り止むと、白い服を着た者達が『処理室』へと入っていった―

ジェミニ「………」

「………」

「……弟よ、俺は……お前達の分まで、頑張るぜ」

「……出会いもあればまた、別れもある……それが、冒険者というものです」

「いざ別れのとき、となると……何か寂しくなっちゃうわね」

「元々は敵ですけどね」

「さてと、早速ですが登録に移らせて頂きます。ジェミニ様とクーラ様、そして司様。以上でよろしいですね？」

ジェミニ「うん、だいじょうぶだよー」

「大丈夫です」

「それで構いません」

「そして、ペットの名前が『りんごさん』っと……はい、登録完了です。お疲れ様でした」

「なんかまた可愛らしいネーミングだなオイ……」

「そうだ、言い忘れてました。技能が上がるとペットの保有限度も増えますが、逃亡の可能性も増しますので注意してくださいね」

―スティルフの街　市場―

「それで、これからどうする？『りんごさん』はしばらく戦闘には出せないみたいだけど」

「とりあえずは近くの平原に出て、体でも慣らしましょうか」

ジェミニ「さんせー！」

「俺も特に異論は無いな」

ジェミニ「それじゃあ、れっつ・ごー！」

―こうして、あたしはアップルさんのおにいさんを仲間にしたんだけど……
　アップルさんを見てると、何かを思い出しそうになるの。
　なんだか、懐かしい気持ち。………これ、なんなんだろ？

「実は前世では俺とジェミニは兄妹だった、とかあったりしてな？」

ジェミニ「それはないとおもうの」

―Next Diary......第4話:新たな仲間と共に

Special Thanks:
クーラ・フローレンス(ENo.915)
天翔司(ENo.1100)
アップルさん三兄弟

お詫び
文末でございますが、前回の予告より日記のタイトル、及びストーリーが大幅に変更になったことをお詫び申し上げます。
今後もこういった変更が多々あるかと思われますが、お付き合いして頂けると幸いです。