某月某日。 豚野郎はあと少しってとこで勝手に窒息した。手痛い一発を最初に食らった以外は適当に躱せたからどうって事はない。水中での身のこなしは問題ないみたいだが、魔力の出し方が今ひとつ巧くいっていないらしい。 取り敢えず新しいスキルストーンを買って、もう少し素早く動ける様にした。指輪の強化も順調にいった、が・・・どうも自分で自分の縫い物をするというのは味気ないもんだ。こういう時甲斐甲斐しく縫い物をしてくれる姉ちゃんは居ないものか。 宿に帰ると手紙が届いていた。一通はこの間なんばを間に挟んで話をしたエルフの男だ。一緒に酒を飲もうと書いてあったが、どうせあいつと飲むとどう女を巧く引っかけるかの話題にしかならないのは目に見えてる。だけどそれもいいかもしれない。テクニックの情報交換というのはまめにやるべきだ。新しい見知を求めるのは悪い事じゃない。 さて、問題はもう一通だ。適当にその辺で拾った手紙には、恋に恋しているらしい女の子だろうか、随分と情熱的な内容が書き連ねてあった。これは無視する訳にはいかない。男が廃る。と言うわけでこの日記を書く前にさっさと返事を書いておいた。やっと俺にもツキが回ってきたかもしれない。あーしに馬鹿にされるわなんばにはゴミ呼ばわりされるわ此処に来て散々だったが、これでプラマイゼロだ。これが悪戯だったら本気で泣く。 ともあれ、次回は練習試合が一回、それから遺跡の探索に出向く事になっている。練習試合の相手の中にどうも他人とは思えない面構えのおっさんが居た。試合が終わったら一杯誘ってみようか。つっても本番は遺跡の探索だ。本来の目的を忘れる所だった。どうにかいいものを拾えないものか、今から居もしない神様に祈っておくかね。 そういえば一足早く寝ちまったケプラーが、寝言で妙なことを口走っていた。「兄さんが溺れるところ見てみたいなぁ」だと。こいつ縁起でもない事言いやがる。つーか何しにきたんだか未だに俺にはよく分からない。今もベッドの上でむにゃむにゃ言いながら寝こけてる。家のにゃーもほっぽり出してどういうつもりなんだ。まぁ、にゃーについては心配するだけ無駄な気もする。 久しぶりに本気出して戦闘魔術を使ったら疲れた。そろそろお休み。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

（あなた）は、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。