「ん～…、どうしよう。泊まるところは協会が用意してくれてるからいいけど、問題は食事かなぁ。ただでもらえる食べ物ばかりはよくないよね」 この世界の泊まるところは結構綺麗だし、お風呂も広いよ。 だけど…食べれるものは、ただでもらえるのはパンと水なの。 もらえるパンと水には不思議な魔法がかかってて、これだけでお腹いっぱいになるの。 でもこればかりになると身体に悪いから、栄養はちゃんととらないと。 だから少しでもこの、シェルゴールドっていうものを集めてお金にするの。 もっと栄養あるものを食べるなら、まずはお金をためないと。 お母さんもよく言ってるの、毎日ちゃんと栄養をとらないと大きくなれないって。 私は大人になるなら背の高くて綺麗なお姉さんになりたいなぁ。 「とりあえず今日の分は大丈夫そう。明日はもうちょっとお金もらいたいなぁ…」 今日のお金も確認したところで、夕飯まで暇だから街をぶらりとまわってみるの。 まだまだまわりきれてなくて知らないところも一杯あるし、今日はどこまでまわれるかなぁ。 イカさんからもらった地図をみて、行ってない所を順番にまわって、行ったところには丸をつけていくの。 丸が一杯になったら地図が見づらくなっちゃうから、ちゃんと地図は二枚目もあるから安心だね。 「そこのキミ、ちょっといいかい？」 「ん～？」 声をかけられたからそっちのほうに振り返ったの。 そこにいたのは学校の先生そっくりのおじさんで、アロハシャツを着てたの。 ガイドの人かな？それとも旅行に来た人かな？ 「君もあのテリメインの調査に着た冒険者だね？財布を見ていたようだけど、何やらお金に困ってるようだねぇ」 「そうなの、今日はまだ大丈夫だけど明日はもっと貝の形をしたものを集めないとお金が大変なの」 「ほうほう…、なら丁度いい！私がオススメの仕事を紹介するけどよかったらどうだい？」 「オススメ？」 ん～、お仕事って言っても、今は冒険もあるからなぁ～。 でもお金はもっと欲しいよね。難しいお仕事とか、時間のかかるお仕事じゃなければいいんだけど。 「その日の探索の後に出来る接客業だし、好きな時間にきてくれればいいから安心だよ。それに君くらいの子ならお金もとことん弾むよぉ」 「接客？」 レストランでよく見る可愛い服の人かな？ 私は人とお話するのは好きだから、やってみてもいいかなぁ。 お金ももらえるから、少しはやいお仕事体験みたいなものなの。 「じゃあ、やってみようかなぁ」 「おぉ、それは嬉しい。それじゃあ早速案内しよう。まずは見てもらってから考えてもらうのが大事だからねっ」 「は～いっ」 お仕事の場所はどんなところかなぁ？私にできる仕事なら続けられるかもしれない。 とりあえず、おじさんについていくの。まずは見てからっておじさんも言ってるから、ちゃんと見て決めることにするの。 ふふっ…、なんだかわくわくするよぉ♪

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

ここ、最先端探索拠点を越えてしまえば、そこはもう未開の海だ。
そにあ達のような探索者たちがどんどん先へ進めば、
後々海底探索協会が、このような拠点を設けていくのだろう。

この先はどんな危険が待ち受けていても不思議ではない。
誰も踏み入れたことのない場所なのだ。
準備を怠らず、慎重に進むといい。

どのような生き物が居るのか、どのような未知が、はたまた宝が眠っているのか。
それはこの先へ自ら進んでいく者にしかわからないのだろう。

海は、まだまだ先へと広がっている。