今更言うまでもないが海というのはとても広くて、 沈没船のサルベージだトレジャーハントだとロマンとギャンブルを足して割らずに 煮詰めたような稼業といえども そこに至るまでには地味で退屈な調査と、膨大なデータとのにらめっこが待っているもんだ。 ……まぁ、その辺の細かい話は省略するとして、俺達は偶然海底の“崖”に引っかかっている 一隻の沈没船を見つけた訳だ。 　いきなり機材を全投入して引き揚げて……それでガラクタしかありませんでした～ってんじゃ ワリに合わないからな？まずは予備調査として数人で手分けして潜る訳よ。 昔は豪華客船が頻繁に往来してたような場所だが、氷山も漂ってるような海域だから 装備は結構重たくなる訳さ。今のお前と似たような感じだな。 　んで、寒～い海域は言葉は悪いが“保存状態”が良い訳よ。これは期待出来るなと思ったのさ。 　船の構造なんてのは実はどれも似たようなもんだから、無線で連絡を取りながら 船長室やら客室やら“お宝”がありそうな場所を優先的に調べるんだが…… ……ああいや、ええとな。一等船室でな……眠るようにベッドに横たわっている 少女の遺体を見つけたのさ。 　……さっきも言ったろ？寒い海域は保存状態が良いって。だから、前にも 空気の残っていた船室で……いいや、この話はあまり面白く無いな。やめておこう。 　ともかく、その少女の遺体がな……とても、綺麗だったんだ…… 陶器で出来た人形みたいなさ、真っ白な肌に黒い髪で…… だから、何か……そのまま寝かせておいてやりたくなってな…………… 　「酒を嗜むのは己れも同じだが、哺乳類は限度を見誤ると休眠状態に陥るようだ」 　ソファに背を預けた姿勢ですうすうと寝息を立てているフルミネの手に握られたままのグラスを取って ローテーブルに置くと、レオは自室へと戻っていった。

トゥオーノはアイテムNo.3 シェルボックス（低） を使用した。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

ここ、最先端探索拠点を越えてしまえば、そこはもう未開の海だ。
トゥオーノ達のような探索者たちがどんどん先へ進めば、
後々海底探索協会が、このような拠点を設けていくのだろう。

この先はどんな危険が待ち受けていても不思議ではない。
誰も踏み入れたことのない場所なのだ。
準備を怠らず、慎重に進むといい。

どのような生き物が居るのか、どのような未知が、はたまた宝が眠っているのか。
それはこの先へ自ら進んでいく者にしかわからないのだろう。

海は、まだまだ先へと広がっている。