前回までのあらすじ マイケルさんがいた。バカンス中らしい。勝ったら焼き魚をもらった。 今回のお話

	ネクサ・あざらし
	「…………、」「…………、」

マイホームである水上コテージ。その食卓。ボクと相棒のあざらしは、いつになく真剣な眼差しでテーブルの上にあるものを見つめている。

	ネクサ・あざらし
	「いっただっきまーーーす！(プスッ、ちぅ〜〜〜)」「キュッ！キュウ！」

仲間になったジョアンナさんから、仲間への歓迎の印に、と人魚の卵を貰った。 ボクとあざらしはさっそく、栄養満点だというその卵にストローを刺して中身を吸っているところだ。

	ネクサ・あざらし
	「大丈夫だよ、キミの分もちゃんと残してあるから！」「キューッ！(ちぅー)」 「こんな珍味があるなんて……テリメイン、流石海の世界だね〜」「キュ〜」

海中の宝石と呼ばれるほど、透き通る琥珀色の輝きを放つそれはまさに──

	ネクサ
	「おっきいイクラだこれ！」

ご飯が何杯でも食べられる！今度、お礼にボクからも腕によりをかけて焼いたメロンパンをみんなに贈ろう！ サイショハミンナー バラバラニエガイテタ チヘイセ-ン♪ イマナラ ヒトツノボウエンキョウデ ノゾケルー♪

	ネクサ・あざらし
	「あっ、PTメンバーから着信だ！なになに、これから次の探索と……その前に練習試合だって！新しく作った潜水ロボ、ザルディーネの試運転にもってこいだね！」「キュー？」

戦闘潜水艇ザルディーネ。イワシの名を冠するその機体は、武装はマイクロミサイルのみ、全長は3Mと小型だけど、遠隔操作とAIで動く無人の小型機をファンネルとして周囲に31機従え、魚群のように行動する、いわば擬似合体ロボだ。 メールを読み終えると、ボクはすぐさま壁に掛けてあったジャケットを羽織り、ゴーグルを装着し、階段を降りてドックに停めてあったザルディーネに勢い良く飛び乗る。

	ネクサ・あざらし
	「さあ、それじゃあボクたちの初の練習試合、張り切っていこうか！」「キューッ…キュー！！」

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

ネクサは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。