『エンリケタ・トラモンターナの手記』 ——グローボ新大陸歴１６年１１月１５日付 　テリメインでの初めての探索は成功。めぼしいお宝は見つからなかったけど、 無事に乗り切れたのは何よりだった。 　遺跡では戦闘もあったけど、ヘルディナの撹乱とメリクのサポート、 そしてあたしの攻撃がうまくかみ合ってたと思う。 　そうそう、最後のとどめはあたしの錨が見事に決まった。攻撃担当の面目躍如がはたせて爽快！ ……だったんだけど、ワカメの林が死角になって二人からは見えなかったみたい。 　そういえば、最初にポルト・フリーダムへヘルディナに会いに行った時も ワカメかぶって顔が見えないって言われたっけなぁ……。おのれワカメ。 　それにしても遺跡で会った敵、モンスターなのか人間なのかよく分からなかったなぁ… ヒトデやナマコを被った人間にしか見えなかったけど、やっつけちゃっても良かったんだろうか…まぁ、いいか。 　目指すお宝はもっと深く、遠い海。テリメインがどんなに広くても、必ず見つけ出すんだ。 　ところで、ほかの探索者たちに会うとよく「ドラゴンっぽい」「竜人」と言われる。 　あたしの地元、グローボで『ドラゴン』というと、昔『帝国』のダークエルフ達が使ってた 『竜魔術』の元になる破壊の『力』のような『生き物』のような……魔法の事はよく分からないけど、とにかくなんでもかんでも壊してしまう、恐ろしい力のことらしい。 　なんでも『大戦』の最後の方でダークエルフの『皇帝』が自爆ついでに召喚した 『竜王』は、帝都をあっという間に呑み込んで灰にしちゃったという。 　一体どの辺が似てるんだろ……？？？ どうやらあたしの地元とよそとでは『ドラゴン』の意味するところが違うみたい。 　「つよそう」という意味だったら、それに恥じないように頑張んなきゃ。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

ケケは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。