静かな海のうえに、つぎはぎのゾンビが浮かんでいるようだ。 さまざまな色と形のおんぼろの船が、紐と板とカラフルなシートでつながれてひとかたまりになった隙間だらけの幽霊船団。近づいていくと、上空の海鳥のほかにも、甲板の上や窓の奥に動く影が見えてくる。 金属板の桟橋近くに船を泊め、ポワロは慣れた様子で段差のある道を跳ねるように走った。もはや足場にしかなっていないパイプを登り、マストのスロープを降りて、扉を抜ければシート屋根の下、甲板を利用した小さな広場。昼下がり、朝の戦利品をさばき終えた大人たちがまだちらほらと残っていて、その合間を縫うようにして走りだした足は、突然の頭部の痛みによって動きを止めた。 「ぐえっ！！」 「ネギ頭。最近見なかったじゃねーか」 「はなせよお！」 頭の上に跳ねた三つ編みをつかまれて、もがいても大人の手足にはとうてい届かない。どうにかして見上げてみれば、そこには顔見知りの男がにやついた笑みとともに立っていた。簡素な服の下に、肉体労働をしていることがひと目でわかる体格。解かれる気配のない手にため息をついてポワロは口を開く。 「テリメインに行くんだ」 「テリメイン？あの、新しい海域？おまえみたいなガキが行っても何もできねえだろ」 「おれにはエルキュールがある！」 思わず荒げた声に、ほんの一瞬周囲の音が消える。 「海底探索協会にも登録したんだぞ。ほら！71番！ もう許可はもらったんだ。 スッゲー財宝みつけておまえらなんかこき使って——」 次の瞬間、ポワロの細い体はなんなく宙に浮いた。 「えぶ！！」 「はははは。財宝だってよ。燃料代もまともに払えねえのがオチだろ」 鼻の頭と額を強かに床板にぶつけて、反論の機会は与えられなかった。 「ま、せいぜい、船宿行きにならないようがんばれよ」 「…！」 男の足音が遠ざかっていく。 子供の自分一人にできることなんてほとんどないんだと、ポワロにもわかっていた。仲間——しかも一人は大人の——が早々に見つかったのは、幸運だと言っていいだろう。 ポワロは早く大人になりたかった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ポワロは流れ着いたボトルを乱暴に開封している。

	ポワロ
	「なんだコレ。 木の実？」

	ポワロ
	「甘い！！」

	ポワロ
	「ん～～～～～～…何言ってんのかよくわかんねーけど、どこにも生えてない木の実？なんだよな？つまり…」

	ポワロ
	「テリメインベリー味ってことにして売ればいいんじゃね！！！！！！！！！！！！」

	ポワロ
	「やったー！！！！！！テリメイン名物だ！！！！！！！！ぼろ儲けだー！！！！！！！！！！！！！！」

肝心のテリメインベリーとやらは食べてしまったけど、レモン果汁0％のレモン飲料なんてざらにあるのだから 味さえ似てれば何も問題ないのである。バーベキュー味とか。サラダ味とか。

	ポワロ
	「この種増えるかな。 確か探索協会近くに土売ってる店あったよな。植えてみよーっと。 」

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

（あなた）は、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。