力試しとはいったものの、終わってみりゃあ何てこたぁねぇ、手ごたえのねぇモンだった。 どうやらロザりん姉ちゃんがなんか仕掛けたらしいな。 まぁ、オイラの勝ちはゆるがねぇからどっちでもいいけどな。 しっかし、海賊なんてモンもいるんだな。 意外と物騒なんじゃねぇの？テリメイン。 オイラは魚を獲ることに関しちゃ自信があるが、危ねぇ生き物や海賊なんかとは渡り合える気はしねぇ。 なんせ民間人、しかもまだ大人じゃねぇからな。 ガキ相手に手加減してくれる相手なら、そこを強調すりゃなんとかなるってもんだろうが、そんなのが通用するような相手じゃなさそうだしな。 となると。

	ミクマリ
	「やっぱコイツにのってみるか？」

オイラの手にある一枚の紙に視線を落とす。 シュナイダーのおっちゃんと試験する前に、オイラの頭に着地した紙飛行機だ。 ったく、ガキだからってナメやがって。ヒトの頭の上めがけて飛ばすたぁ良い度胸してやがる。誰のイタズラだ？と周りを見渡してみるも、人が多すぎて分かりゃしねえ。 破いて捨ててやろうかなんて思いながらも、しょうがなく紙を開くと、

	ミクマリ
	「んー…んん？？」

そこには、しかし、てっきりオイラが思っていたような罵りの言葉とはまったく別のコトが書かれていた。 つーか、見たことも無ぇ言語だ。こんなん読めな……くはねぇな。何でだ？？ これもスキルストーンって奴のおかげか？ それとも——この手紙の送り主の力か。 「もし良かったら一緒に遺跡を探検できないか。 　話しやすい場所まで来て欲しい。」 うーん、この筆跡……整っちゃいるが大人が書いたようには見えねぇんだよな。 オイラと同じくらいのヤツがいるって事か？   それだけしか書かれてねぇし……誰が出したかわかんねぇっつーの。 っとと、文章の下に地図に赤丸印がついてんな。 ここに来いってことか？

	ミクマリ
	「——ん？？うぉっ！？」

——オイラがここまで読んだ途端、一体どういう仕掛けになってんだか、まるで炙り出しのように差出人の名前とメッセージが現れた。 「日が暮れるまでにここまでくれば、こちらから声をかけます。」 差出人は——シルビオ・シウコアトル。 知らねぇ名前だ。 だが、オイラの直感が告げてる。 コイツはヤベェ、って。 この差出人、何か得体の知れねぇ力をもってやがる。 その事は手紙の件から十分わかった。 ——まさか、人攫いとか海賊の類か？ そう勘繰るも、オイラに狙いを定めるメリットなんてねぇ気がする。 そもそもどうしてオイラなんだ。自慢じゃねぇが金持ってるようには見えねぇだろ。 ——それともあれか？奴隷として売り飛ばそうってか？？ 健康状態は悪くねぇもんな、オイラ。 だけど、そう簡単に奴隷になるタマじゃねぇぞ。 首をかしげるが答えはでねぇ。 だいたい筆跡がいまいちそれを連想させるに欠けんだよなぁ。 あえてそういう筆跡にしてる、って感じでもなさそうだ。 なんつーか、書かれている内容そのまんまの意味しかもってねぇような気がする。 だから——

	ミクマリ
	「この得体のしれねぇ力を持った奴を味方にすりゃ、心強ぇ仲間になる、か……？」

上手くいきゃ、こちらとしちゃ大助かりだ。 こりゃ、ツキがまわってきたか？ そんなことを考えてると、オイラの試験の番が回ってきたんで、そん時はそのままにしちまったが—— ヒラヒラと、手につかんだ紙が風に揺れる。 決断しなきゃいけねぇ。 この手紙——このチャンスに伸るか、反るか。

	ミクマリ
	「ま、行くだけ行ってみっか！なるようになるってな！」

早速地図の場所に向かうにつれ、あれだけいた人がまばらになり—— 辿り着いた先に、見えた人影。 茶髪に白メッシュの小柄な人物。 一見すると人間みてぇだが、人間にはあるはずのねぇ鹿のような耳と角。 その人物が、オイラに気づき、口を開いた—— それが、オイラとシルビオ兄ちゃんの出会いだった。

ミクマリはアイテムNo0 ゴーグル を使用しようとしたが、効果がなかった。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

（あなた）は、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。