海と遺跡の世界、テリメイン。 どこかの誰かが募集した調査員の募集に乗っかり……というわけではなく、ただの偶然、この世界に降り立った1人…もとい、1匹がいた。 「（…ほわー、ここがテリメインですか……ホントに海だぁ）」 きょろきょろ、と周囲を見渡す少女。首を振るたびにさらりと黒髪が揺れる。 見た目は可愛らしい少女だが、彼女——エリュニウスは、通常の人間ではない。 別世界の神にも似た存在の分け身のようなものだ。本体は眠っていて、たまに彼女のような分け身が別の世界に遊びにいくことはよくあった。 「（今回は、ここでしばらく遊んでも良いみたい…だね。海って行った事なかったし、いろいろ見に行っちゃおうかな）」 手には先ほどテリメイン探索協会でもらったスキルストーンがひとつ。 これで、言葉が通じないヒトたちとも、コミュニケーションが取れるようになるらしい。 探索協会で手続きをしたときに行ったフリップでのやりとりを思い出し、エリュニウスは苦笑した。 そもそも、本体からして人間ではないエリュニウスは、人間のカタチはしているが、発声器官を持たず、声でのコミュニケーションが取れない。 完全にやりとりが出来ないと不便ではあるため、通常の場合は白紙のフリップを使い、筆談でコミュニケーションを取っている。 それを見たロザリアネットが———探索者には全員渡しているらしいので、見ていなくても渡されただろうが———海中では不便だろうから、とコミュニケーション用のスキルストーンを渡してくれたのだ。 「あ、あーあーあー……うわあ、声が出てる、すごい！」 はしゃぐエリュニウス。ちょっと周囲から不審の目で見られている気がするが気にしてはいない。してないったらない。 「これなくさないようにしないと……」 ごそごそと持っていたカバンの奥底に仕舞い込む。持っているだけで良いと言われたし、失くしたら言えばまたもらえると聞いたが、やはり失くさないことに越したことはないだろう。 スキルストーンを入れたカバンを担ぎなおし、エリュニウスは探索協会の奥、パーティ募集掲示板などがあるコーナーへ向かった。 1人で探索しても良いのだが、今回のエリュニウスは腕力には自信がない。力強い仲間と一緒に探索できれば良いなと思いつつ、掲示板のＰＲチラシを1枚1枚見ていった。 『キラキラの海を一緒に巡ってみませんか？ 　（ここにテリメインで見たことない無料素材風の南国風の海の写真） 　当方、20代の頑張り女子です。海で一緒に探検してくださる方を募集しています。 　種族年齢など一切不問！　海中で怖いトラブルも、自社のハイテクマシンで解決しちゃいます！ 　仲間になってくれた方には、アクセとしても可愛いクォーツ懐中時計をプレゼント♪ 　（片手に楽におさまるサイズの磨りガラス製懐中時計の画像　 　　まわりに透かし模様が入っててかわいい印象） 　他にも、美味しいキャンディもご用意しています♪　みんなで楽しく探検しましょう♪』 「……可愛い時計と美味しいキャンディ……（じゅるり）」 何を隠そうエリュニウスは美味しい食べ物に目がない。 別の世界では、食べ物といってはステーキをよく食べていたようだが、今回は海なので、美味しい食べ物がいっぱいあるだろうなという期待は心の片隅にあった。 それと参考画像として描いてあった時計の可愛さに目を惹かれる。 頑張り女子、という単語の意味はよくわからないが、少なくともエリュニウスよりは腕力に自信があるように思える。 エリュニウスは、うきうきとしながらチラシに書かれた集合場所へと向かった。

《海底探索協会》

《海底探索協会》

エリィは周辺を探索…………。

今回はアイテムを見つけることができなかった！

エリィはゴーグルを購入した。

エリィは体力を訓練した。
エリィは体力を訓練した。
エリィは体力を訓練した。
エリィは体力を訓練した。
エリィは体力を訓練した。

目的の決定