ねーねー、この頃あの猫さんを見ないんだけど・・・。

ねこさん？

サーチュンさんのことですかネ？

そう、その人その人！

サーチュンさんなら、一昨日くらいから抜けたらしいですよ〜。

へ？ それホント？

残念ながら、本当の事でス。

そうだったんだ・・・春子はいつそれを知ったの？

レディカさんから教えてもらいました〜。

そうなんだ。

全員分の食事を用意するので、同じくレディカさんから聞きましタ。

うーん？ なんで途中離脱しちゃったんだろうねー？

もしもし？

やぁ、ご機嫌いかがかな？

・・・予想外に早いご連絡ですね。 何か情報ですか？

おや、世間話はお嫌い？ では、本題といこうか。

すみません、お願いします。

どうもアクアパレスに大きな動きがあったようだ。 これはすでに君の情報網にも引っかかっているだろう？

はい、噂程度でしたが・・・王国側から強大な戦力が投入されたと聞いています。

戦力の逐次投入は悪手、というのが一般見解なのだがね・・・どうも王国側はそう考えていないようだ。

たしかに・・・本来ならば、反逆者は最大戦力で一気に排除すべきですよね。

考えられる点は二つほど。 一つは戦力を読み違えて投入費用を渋ってしまった可能性がある。

想定以上の一揆の規模だった、そういう事でしょうか？

練度の高い兵士を数千人規模で用意するのも難しいというのもある。 今のように、特定のエリアに迷い込んだ数人から数十人規模の一揆衆を相手にするのなら、そちらの方が都合が良いというのもあるがね。

うぅん、どうも合点がいきませんね？

同感だ、長引かせればそれだけ損失が出かねないだけに・・・どうにも辻褄が合わない。 そこで、もう一つの説を提唱しようと思うよ。

お願いします。

時間をかけて、兵を『改造』しているとしたらどうだろう？

改・・・造！？

明らかに、侵攻が進むにつれて周囲のエンブリオの濃度も上がってきている。 そして、奥地の分隊ほどより強力なエンブリオを与えられている傾向にあるように感じる。

・・・なぜ、そんな方法を取るのでしょう？

理由に関しては一揆衆と変わらないのだろう。 契約したエンブリオから力を借りるには、どうしても時間がかかるからね。

それはそうですけど、最初から契約していた兵士さんもいたはずじゃないですかね？

もちろん、いるはずだろう。 しかしながら、一揆衆以外の『侵入者』や『反逆者』も多い。 そちらの防衛に回さざるを得なかったんじゃないかな。

それは・・・屋敷にいた、オリヴィア達の事でしょうか？

ああ、彼ら前王勢は反逆者に当たるだろう。 他にも『ウルドスピン』を経てやってきた部外者が多くこの分割世界に迷い込んでいるように見える。 彼らの目的と理由はわからないがね、一揆衆にも手を出す輩も多いようだが・・・王国側にも敵対している以上は『侵入者』なのだろうさ。

えぇと、つまりは『侵入者』に熟練兵達が対応している隙に、タイミング良く『一揆衆』が決起を始めた・・・そう言いたいのでしょうか？

流れを見るに、そう言わざるを得ない。 内部の侵入者や反逆者は少数の精鋭で対処しつつ、大量に集った一揆衆には契約直後の大量の一般兵を投入せざるを得なかったのだろう。

それは納得できそうですが、どうして『改造』なんですか？ 一揆衆のような『成長』とは違うのでしょうか？

・・・どうも、通常の方法で契約している雰囲気に見えない兵が散見し始めていてね。 成長が早すぎるというべきか、何らかの方法で高速の成長を遂げているように見える。

・・・どうでしょうね？ 他の方法なんてなさそうですし。

強制型エンブリオ・・・あくまで可能性だがね。

！

文字通り、強制的に契約を迫る事ができるエンブリオである可能性が高い。 強制されるとはいえ、力は借りる事はできるのだろう。 短時間でどんどん強制契約させれば、一揆衆より早い速度で強くなる事もできるだろう。

王国側にのみそんなものが出回っているとすると、分が悪いですね・・・。

しかしながら、契約とは少しの生命力を対価に力を借りるものだ。 そんな契約を短時間で強制的に何度も何度もさせられたらどうなると思う？

あっ・・・。

そもそも、エンブリオと契約する数に上限があるのは生命力の極度の低下を防ぐものだと推測している。 力の対価が寿命だとするならば・・・王国はなかなかに非情な方法で戦力投入をしているようだね。 これならば、逐次投入せざるを得なかった理由にも納得できるんだ。 契約のリスクが大きすぎてね。

背水の陣という事なのでしょうかね・・・？

・・・それはどうかな？

？？？

王が人間ならば背水の陣なのだろう。 しかし、王自身がエンブリオであるのならば———。

今日はどこへ行くつもりなのかしら？

千秋君がアクアパレスへの道を教えテくれるそうデすよー♪

やはりこういう場所は落ち着きますネ。食材もたくさん手に入りそうでス。

食事とは栄養を得るための行為だ。
栄養価が高い物を美味いと感じるのは、至極自然な事だと思うがね？

人間様の食い物はそうでもねーらしいぜ？
ケロ坊も一回食った事あんだろ。『さぷり』とか云うの。

あぁ、サプリメントな。鉄分補給のは美味かったぞ？

ダメだこいつ……

金属の摂取は本能的なものになっちまってな……。
少々舐めて良いなら、失礼するよ？

……うむ、銀に近いかと思いきや案外そうでもないな。
しかしこれはこれで癖になりそう……

はい、もう無理はしません…身をもって思い知りましたから…

あ、あらあら

んー…これはこれは…

もう少しこう、その金属をぽわーんという感じに

便利なのはいいけど今更新しい武器の扱いを学ぶのは無理があるわよね☆
手に馴染むモノの方がやっぱり使い勝手はいいし☆

ま、弓使ってる身としては射程の利ぐらい許して欲しいけどねー☆
距離がない分威力が凄いのがレクシアちゃんの強みだろうし❤

さぁて、ね？この一揆の首謀者にでも聞いてみたら？
成功した後には特に興味が沸くわけでもないから私にはなんとも☆

それこそ一揆起こす前より酷くなりそうだけどどーだろうねー❤

強そうデすね？

シーナちゃん、私達で行くしかないよ！
えいえいおー！

が、がんばります・・・っ！

負けませんヨ。覚悟してくださイ！