「手記」

今日は、一人。
自分の持ち物を確認してみる。

服。ここに来てから買ったものもあるけれど、元々着ていたものは黒のドレス。
どうしてこんなドレスを着ていたのだろう。
……そんなこと、わかるはずもない。

自分の知識は、「旅慣れた者」のものであるように思う。
こうしてさまざまなところを渡り歩くのに不便がない。
それなのに、こんな服を着ている、不思議。
その時は旅をしていなかったのだろうか。
でも、それならばなぜ、波打ち際に倒れていたのだろう。

装飾品。自分がつくったものは、自分でわかる。
ピアスを手に取った。これは、わたしが作ったものじゃない。
買ったもの？　いや、わたしはきっと、買わない。
——誰かにもらったもの？
桜の花びらの……
　　「サクラ」「サキ」
たぶん、それが、わたしの名前。これは、知識。

もう一つ、身につけているもの。
煉瓦のビーズを連ねたブレスレット。
これはわたしが作ったもの。
一体、なぜ？　こんな素材を選んだのはどうして。
こんなに脆く崩れやすい素材、美しくもない素材。
わたしがこんな素材を好むだろうか。
……確かに、誰も素材にしないだろうというところは好みそうな気もするけれど。
たった一つの、赤い石。

煉瓦に、何があるの？

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{彼女の記憶の欠片は現在「330」＋5＋ 1D5 = 1 ( 1 ) }