このところは手分けをして探索を進めたり
分散してエンブリオの捕獲に赴いたりといった事が重なり
リンテントポーゼ領よりの一団である〈Durak-Gearrings〉の面々は
不規則な編成となり、どうにも忙しない事になっていた。
時には、通りすがりの小柄な獣人の首根っこを掴んで協力させることもあった。
不幸な鼠である彼はまたいずれ巻き添えにされる事が半ば約束されていた。
つぶらな瞳には怯えと諦めの色が浮かんでいた。

進軍の中、体調の思わしくない者もいた。
身体からエンブリオが抜け出すようになって以来、サイは弱ったままだ。
けらけらと機嫌良く嗤う紅いそれとは対照的に。
ぐったりと横たわり、見るからに顔色の悪いサイを横目に見やる。


（出来れば、どこか穏やかな所で養生をさせるべきだろうか。
　それが今の彼にどれほどの効果があるかもわからないが
　このまま、というワケにもいかないだろう。
　今のまま引き連れていっても、いずれ───）

ミチエーリの瞳と視線が絡まる。
驚き、軽く目を見開く。

再び前髪の奥にその相貌が隠れると、しばらく沈黙した後に、ようやく口を開いた。

カッカッカッ！と闊達に笑う

自分とミチエのボディラインを見比べて。

今まで遭遇した肉食性魔物の顔を思い出して。