「声で見た目までわかるの？」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　———— 謎の歌声



　近頃、夜中に歌声が聞こえるという話がメイドたちの間で囁かれている。寝ずの番に当たった兵士たちも聞いたと証言し、あわや侵入者騒ぎになりかけた。
　聞こえてくる場所は王宮のどこか、人の居ない場所。星空の下のテラス、遊戯室、そして寝所のある区画。静かな場所を選ぶようにその声は現れ気がつけば消えている。
　男とも女ともつかない、というのは不思議な話だがそれは歌が『言葉』でなく『音』であるせいだ。しかし、音の性別を理解する魔属にもどちらか解らないらしい。それはさておき、歌声を聞いたものは安らぎと、高揚感と、確かな蠱惑を感じるのだそうだ。
　透き通る水のような絡みつく蜜。清らかなのに艶かしい。神聖なのに背徳的である。
　姿を見たものは居ない。当たり前だ。彼が自分で選び、人避けの力まで使っているのだから。

　コノエが歌っている。否、あれは天使の言葉だ。

　ただし讃えているのは神じゃない。その膝の上で眠る——

　　　　　　新しいスライムを取り出した。

うぅん。と、頭を軽く叩いて自分をリセット。思ってる事と実行する事の難しさの差を身を持って知るのはやはり戸惑いを感じる様だ

急に変わっても人は不安になって余計に治安悪くなりそうだしね。とつづけながら

一言でばっさりと切り捨てられて、見事に沈んだ

少し勢いに押されながらもこくこうと頷いてる。

はたと、我に返る

慌てて止める

2匹は攻撃の気配を感じたか、2匹で反復横飛びを始めた。
2匹が頻繁に交差する為、どっちがどっちかわからなくなりそうだ！──色が同じだったら。