私という燈火。
私という窓。

頑なに閉ざされていた私が開かれてゆく音がする。

黄昏の果て、夜の中に鬼火が燃える。
そこで自らが、幻でなく焔であったこと、そうであれることを知る。
尽きることなく燃え続け、灯り続ける鬼火。

燈子。

呼ばれる名は、私にそうあれと告げていた。
焔の仔、燈火の娘。かくあれかし。

黄昏のふちに灯された明かりを、暮れていく夜にようやく見出して、私は夜のために燃えていた。

嘘でもまぼろしでもいいと、私は言う。
それでも信じていられる。
私にとっては、それが真実でいい。

遠い過去、もはや知りようのないかあさんの、あの手を慈しみだったと信じるように。
決して本当には推し量り得ないものを、私は確かにこの胸に信じる。

私は愛していてもいいと。

私は、誰かを愛してもいいと。

悔いと償いとだけに焼尽していくのだと思っていたこの生で、あのひとを待っていられる。
待っていていい。信じていていい。

この手に、そんな赦しを得ることなどないと固く信じていたのに。
左の腕に証だてられた罪以外に、確かなものなど何もないと思っていたのに。

私は生きていていいのだと、今ようやく、じわりと沁みる。

はじめてだった。
私は初めて、生まれ落ちた瞬間から科せられていた枷の重みを、知った。

叫び出したいほどに、今、この瞬間、私は解き放たれていた。