ここ数日、ほとんどゾンビにしか会ってない気がする。
この城はもしや、ゾンビにのっとられてしまったのだろうか？

そもそも、ゾンビプリンセスって何？！
プリンセスがゾンビになったらまずいのでは？？

などと考えていたら、エンジェルちゃんが首を横に振った。

『プリンセスがゾンビ　ではなく　ゾンビの中の階級でプリンセス（仮）に　なったのでは？』

……なるほど。そうかもしれないね！

辺りを見回すと、ゾンビから落ちたのであろう肉片……腐肉が見える。
きっと、ゾンビが徘徊する前は、もっともっと綺麗なお城だっただろうに。
こんな城にはさすがに住みたくない。

王様はどうしているんだろう。
こんな城に住んでいるのだろうか。
ゾンビがこれだけいるのだし、もしかすると、王様も不死者なのかもしれない。
不死者の王。
そうすると、新しい王というのは、実は前の王と同一人物だったりするのかもしれない。
うーん、そりゃあびっくり。
みんなの前に姿を現せないね。

『あまりに突拍子もない事なので……　驚いています』

エンジェルちゃんがあたしの考えに呆れた顔で呟く。
あたしは結構本気で考えてるんだけどなあ。

そういえば、この前、楽しい夢を見た気がするのだけど、内容がぜんぜん思い出せないの。
ちょっと損した気分。

『別に　いいのでは？　夢は　夢　ですし』

エンジェルちゃんは、見た目に反して現実的な気がする。

男の頭の中には絵本や童話の挿絵のようなイメージが浮かんでいるのかもしれない。

このこの、とでも言いたげに肘で君をつつく。

悪い人じゃないんですけど、と付け加える。

木で作られた台に乗って、踊りながら歌っている女の子がいる
１曲歌い終わると、ちらほらいる観客に向かって話しかけ始めた