Ｆの月　７の日。

海辺で楽しげに遊ぶ多くの人を見学してきました。
一揆という反旗を行っている最中のはずですが、それはとても穏やかで楽しげな光景でした。
もしあの海に一面を赤く染める人喰い鮫が現れたら、
もしあの浜辺に無防備な人へ襲い掛かる切り裂き魔が現れたら、
もしあの海の家で周囲を巻き込む大きな爆発事故が起きたら、
あの穏やかで楽しげな光景は突如として私好みの楽しげな光景に変わるのでしょう。
そんなことばかり考えて、その光景を眺めていました。
我慢の時とわかっていても現状に心の奥では納得していないのかもしれません。
何もかもを忘れ、心の欲するままにやりたいことをする。
それはとても甘美な誘惑。
だけどそんなことをすればこの世界でも居場所を無くしてしまう。
他の世界に逃れるにしても、その成功率は。
リスクが高い。
そう自分でもわかりきっているはずなのに。
今日もまだお祭りは続く。
我慢の時間は続く。
まだ続く。
しかし、明けない夜は存在しません。
神の祝福のように、光が満ちる。
その時まで、自分を律し、待ち続けましょう。

自分のことを化け物といいつつも、それに対する悲観の声音はそこにはありません。もう慣れてしまったようです。

何気なく取り出されたナイフに、少したじろぎました。そして、ちょっと考えこむように、口に手を当て。

相手に不審感を抱かせないように何も無かったかのように暫くして、ニコニコとした笑顔をみせました。