おもくるしいくうきが猫たちのあいだをながれています。
いつもげんきなシュテルンでさえも、猫をしんぱいそうにみつめたままとまどっています。
猫は、ぐったりしたままなにもこたえません。


おねえさんとのことが、ほんとうはこたえていたのがあらわれてしまったようです。
そのひの猫はなげやりなたたかいかたで——きがつくとたおれていました。

なんとかにげられたものの、このままではいっきをするどころではありません。
それこそ、まえにひとかりにおそわれたときのように。
へたをすればいのちをおとす、そういったなかに、猫はみをおいているのをあらためてかんじました。


「・・・・・こりゃあ、早いトコ処理した方が良いな。」


ちんもくをやぶり、ししょーがぽつりとつぶやきました。
いうまでもなく、猫のもんだいのことでしょう。


「そう、ですね。」


セバスチャンもさんせいします。

——猫は、やっぱりなにもこたえません。


「そうと決まったら急ごうぜ。その方が良いだろ。」


いうがはやいか、すすもうとするししょーでしたが、セバスチャンにとめられました。


「何だよ？何かあんのか？」


ししょーのといかけにセバスチャンがうなずきます。


「その件についてひとつ提案があるのですが——よろしいですか、坊ちゃん？」


猫は、やっぱりなにもこたえません。


「・・・・・ロク？？」


シュテルンが猫をのぞきこみます。
猫はみみをぴくりとうごかして——ちいさくうなずきました。

セバスチャンは、猫にたいしてなにかいいたそうにしていましたが、やがてひとついきをはくと、はなしはじめました——