うっかりへいしゃまできてしまったものの、へいしたちをしりぞけた猫たち。
たいちょうのようなおとこのひとがすたこらさっさとにげていくようすをみおくりながら、おうさまがいそうなばしょをさがしてすすみます。










へいしたちをやっつけるのにそこまでちからはつかいませんでした。
なにしろあそんでいたつもりだったのですから。


でもそれは、猫のちからがおおきくなっているあかしなのでは——？


猫は、だまったままてのひらをみつめました。














やっぱりこのままちからがつよくなるまえに、だれともかかわらないようにするがいいのかもしれない——





でも———セリィおねえさんのかおがよぎり、ほんとうにそれでいいのだろうかというおもいもつよまります。






どうしたらいいのか、なにがただしいのか、わからないことだらけ。







じぶんはいったい、どうするべきなのだろう———？






こんなとき、


セバスチャンなら、


ししょーなら、


なんていうんだろう？






















——ふたりにあいたい。




















「——どうしたのっ？？」


『！？』


こえをかけられてはっとすると、シュテルンがふしぎそうなかおをして猫をみあげていました。


『な…なんでも…ないのです』


なんとかいつもどおりをよそおってこたえられました。
シュテルンがきづいたかどうかはわからないけれど。

でも、それいじょうきいてくるようすはありませんでした。
かるくくびをかしげたシュテルン。





「ふぅん？そうなの？？むりしちゃだめだよっ！！
ところでさ——あそこにいるのがぼくたちをねらってるよ？？」

すごい満面の笑顔だ。

そんな目で見ないでー、と両手で顔を覆った。かなり恥ずかしいらしい。

うぉぉぉー、と高々と拳を突き上げて復活のポーズから、

流れるようにorz、そして完全にぐったりと伏せた状態に移行した。

ビシーッ！　とロクを指差しながら、

自身の体で書き文字まで作って煽り立てた。

言いつつ「好敵手届け」と書かれた書類を渡した。

きょとん。と瞬いた後、身を案じてくれているのだと気づけば、ふ、と微笑むように息を吐いて。

傍に、という言葉とともに、地面においた学生鞄へと視線を移して。
黒猫の彼が倣って視線を移すなら、鞄のポケットから顔を出し手を振る小さな影に気付ける筈で。
不思議そうな瞳には、なんでもない、と首を振った。ふるふる。

言葉が染みこんでくれた様子に、ん、とひとつ頷いて。

一人我慢するよりも、頼る事の方が難しいと思うから、と。小さく付け加えて。

師匠、とは聞いたけれど。そんなに怖いのだろうかと、瞳を瞬かせて。

白いのは猫の言葉に一瞬言葉に詰まる。
龍の無言にすら、猫は笑っている。
猫は無邪気に自分を解釈しているのだ。
だから龍は、静かにこえを——

白いのが口を開きかけたその時、またその雰囲気が一変した。
荘厳さも何も無く、どちらかといえば目の前の猫に近い、子供じみた覇気。
ぷー！っと頬を膨らませた『それ』は、猫の前で一匹すうはあと深呼吸して、ようやく猫に向き合った。

子供みたいに「知ってる？」とわくわくと問い掛けるよう。
ぎゅっと繋いだ手と手で、『声』の会話を続かせるそれは、「初めて会った時の雰囲気」であっただろう。
「活躍してるの！」と弓を見せびらかしてから、キーは座るように屈んだ。

小さな猫と手を繋いだままでいれば、「声」の会話は続いていた。
時々「ぷー！」と踏ん張っている事から、なんらかの「ちから」をキーが放っているようだが……

おそるおそるつついていましたが、ついにおもいきってくちにほおばってみました。