<Days56>


「節分……ですか？」

　私に渡された豆まき用の豆を受け取り不思議そうな表情をルシエ・ソルブランシェは浮かべる。

「うん、その豆を外に向かってまくことで家の中にたまった悪い運気を追い出そうって言うイベントなんだよ」「へぇ、厄をはらうおまじないですか、面白いですね」
「でしょ？丁度なんかそれ用の豆がこっちでも売っていたのを見つけて、やってみようと思ったんだ」
「それでどういう風にやれば良いんですか？」
「それはね、「鬼は外、福は内って言いながら豆を投げるんだよ」

　私はそう言いながら豆を投げてみせる。

「なるほど、こうですか？」

　そう言って彼女は和つぃがやってみたのを真似してやってみる。


「そうそう、そんな感じ」
「祀のいた世界には私の知らない風習がたくさんあるんですね」
「そりゃ違う世界だからね」
「祀の世界の事……もっと知りたいな」

　彼女がふとそう呟いたのを私は聞き逃さなかった。

「ルーシェ？」
「あ、な、なんでもないよ、何でも……」

　慌ててごまかそうとする彼女に私は微笑んでこう言った。

「興味があるなら、是非私のいた世界に来て欲しいな、この一揆が終わっても一緒に位したいから……」
「いいんですか？」
「うん、もちろん、だよ。私もルーシェと一緒にいたいから」
「ありがとう……」
「それじゃ約束だよ」
「はい！！」

　私と彼女はそう約束したのだった



今回もルシエ・ソルブランシェ(2010)さんをお借りしました、感謝。


TobeContinued……

魔女の香水は、魔力を含んだ油。
薬品の開発はただでさえデリケートな仕事だが、それに魔力が絡むと、その複雑さは段違いになる。魔力を含む薬品は、専門の開発者でも、想定通りの効果に仕上げるのは至難の業だ。
ましてその効果量は雲泥の差。心身を書き換える薬になる事もあれば、万病を癒やす薬になる事もある。ひと嗅ぎで死に至る毒薬になることもあるだろう。何も起こらない事もあれば、肌を潤したり、薄毛を解消したりすることもあるかもしれない。

そんな危険な代物を、何も見ずに混ぜたわけだ。正真正銘、何が起こるかは魔女自身にも分かってはいなかった。

そしてそのスプレーを相手に向け、噴射しようと、今まさに指を押す。

差し出された手を取って、続ける。