<Days44>


「ふんふーん」

　私は少し前に市場で手に入れた食材で鼻唄を歌いながら楽しげに料理をしていた。

「祀？何か手伝いましょうか？」

　ルシエ・ソルブランシェが後ろからこれを掛けてきたので、その手で制して微笑みながら私は言った。

「今日はルーシェに美味しいごちそうを食べて貰おうとしてるんだからそこで座って休んでてよ。もう後は仕上げが残ってるだけだからさ。リラックスする香水も用意したしね」

　テーブルに置いた異世界の錬金術師の少女に貰ったピンク色の香水の瓶を指さしながらそう言った。
　ルーシェは物珍しそうにその香水の瓶を見ていたが、彼女も女の子らしく、興味がわいたのかその蓋を開けて香りを楽しんでいるように見えた。

「それじゃ、最後の仕上げと行きますか」

　私は、料理について書かれている材料、芋トカゲと蛙の目玉をすりつぶした粉を何のためらいもなく料理へと振りかけていた。
　普段だったらためらいどころか目もくれないその材料を使ったスープは完成したが、私は何の疑いも持っていなかった。

「はい、できたよ、お待たせしました」

　私はテーブルに置いたお皿に今し方できたスープをよそぐとエプロンを外す。
　そのどこか怪しげな紫色をしたスープは傍目にはとても美味しい物には見えなかったが、テーブルの上にあった香水の香りを楽しみ、どこかとろんとした瞳をしていたツーシェはそれに疑いも持たずこう言った。

「美味しそうですね、祀。まるであなたみたい」

　くすりと微笑む彼女の笑みはどこかとても蠱惑的で、魅力的な物に見えた。

「ありがとう、それじゃ食べようか、冷めないうちにね」

　私はそう言ってまだ温かいスープを口に含んだ。
　そのスープを飲むと、身体の中がかーっと熱くなり、目の前にいる少女を思う気持ちが更に強くなっていくように感じられた。
　それはルーシェも同じようで、その瞳は潤んでいるように見えた。

「ごちそうさま」

　私達は、お互いのことを意識しながらそう言って食事を終わらせると立ち上がりどちらかではなく近づき、そっと身体を重ねたのだった。


TobeContinued……

今回の日記もルシエ・ソルブランシェさん(2010)をお借りしました、感謝！！

手を出し、受け取る。

そう言って踵を返し、

特に止める事がなければ、そのまま立ち去ろうとするだろう。

そう言って、弩の後ろに付いた機械を見せる。

首をかしげ、君の返事を待っているようだ。