周囲にあの子たちが居ないことを確認して、私はお人形君にそっとつぶやいた。

　お人形君は、私のつぶやきにそう返しはしたものの、私がその質問を黙殺すると、それ以上は何も言ってこなかった。ただ、小さく「うん」と言っただけだった。
　あの子たちはこれからどうするのだろう？
　それこそ、一揆なんて諦めてみんなでピクニックでもしている方がよっぽどあっていると思うのだけど。
　きっと、そうはならないだろうとわかっていた。
　あの子たちの事情を、私は知らない。


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　年少者保護の概要（２）

　年少者には、原則として労働基準法に規定されている以下の規定は適用されません。
・変形労働時間制（法定労働時間を弾力化する特例です）
・フレックスタイム制
・時間外、休日労働協定による時間外、休日労働
・労働時間の特例（一部の事業の法定労働時間が一週44時間となる特例）
・休憩の特例（一部の事業については休憩の途中付与、一斉付与、自由利用の原則の特例として、それらをしないことが出来ますが、年少者についてはその特例の適用はありません）

　細かい説明は省きますが、年少者については時間外労働など労働時間に関する特例は適用されず、法の原則（一週40時間、1日8時間まで）通りに使用しないといけないということですね。
　ただし、例外として

①一週間の労働時間が法定労働時間を超えない限り、一週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合においては、他の日の労働時間を10時間まで延長することが出来る。

②一週間について48時間以下の厚生労働省令で定める時間（現在48時間）1日について8時間を超えない範囲内において、一ヶ月単位の変形労働時間制又は1年単位の変形労働時間制の例により労働させることが出来る。

　とされています。
　変形労働時間制については、今回はパスさせていただくとして、①については補足させていただきます。

　月曜日に８時間
　火曜日に８時間
　水曜日に４時間
　木曜日に１０時間
　金曜日に１０時間

　計４０時間


　上記のように年少者を働かせた場合、通常なら木曜日、金曜日の労働は時間外労働になり違法なのですが、条規の特例により水曜日が４時間以内の労働時間となっているので、適法とされます。
　また、特例にある「他の日」とは、一週間の労働時間が法定労働時間を超えない限り、他の「１日」に限られません。

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距離を取られ、警戒をされていることに気づいていないのか、変わらぬ調子で会話を続け。