広庭で会った兵士たちから私たちは逃げ出してきた。戦って勝とうなんて思わなかったから、こんな状況になるなんて考えても居なかったんだよね。
　でも、なんだか牧歌的なその見た目とは裏腹に、私たちが出会ったその冒険者さんたちはやっぱりちゃんとした冒険者だったみたい。
　だって、おじいちゃんと女の子となんかかわいい幽霊みたいなのだよ？
　エンブリオだって怪我してるし、とても強そうには見えないじゃん。
　そう思っていたのに、彼らはあっと言う間に水浴びしていた兵士たちはやっつけてしまって、私たちを捕まえようとした兵士たちは今は足下でのびている。
　そういう光景、見慣れているはずなのに、私はつい呆然としてしまっていた

　このまま逃げちゃいましょう。
　よっぽどそう言おうと思ったけれど、倒れた兵士にじりじりとにじりよるアニマ君となんだか言いたげにしているキラーウルフ君が気になって、私はつい、言葉を飲み込んでしまっていた。
　本当に、彼らはどうするつもりなんだろう？
　一揆に彼らが参加している理由が理由なら、例えば、なにかの復讐のために一揆に参加しようとしているなら、兵士を放っておく訳がない。
　誰かのことがニクくてニクくて仕方がない気持ちなら、私だってわかるから。
　もしも彼らが、ここで兵士を殺していくと決めたら、私はどうするだろう？
　一瞬そこまで考えてしまって、なにも思いつかない自分に嫌気がさす。
　彼らのひとり、アニマ君が威勢よく声を張り上げた。

　自分勝手な押しつけだとわかってはいるけれど、私はつい、口元を綻ばせていたんだ。


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　労働基準法・年少者保護の概要

　労働基準法では、精神・肉体的に成長過程にあり、社会的にも弱い立場にある年少者を保護するための規定があります。少し唐突ではありますが、今回はその年少者に対する規定を見てみましょう。

　まずは、労働基準法で言う年少者とは何かをしっかり定義づけてしまいましょう。
　年少者とは……

「児童」　　→満１５歳に達した日以後の最初の３月３１日が終了するまでの者。
「年少者」　→満１８歳未満の者
「未成年者」→満２０歳未満の者

　となっています。
　このうち、児童については、労働基準法では

・使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の３月３１日が終了するまで、これを使用してはならない。

　とされ、原則就労禁止となっています。
　ただし、例外として

　①非工業的業種で、児童の健康および福祉に有害ではなく、かつ、その労働が軽易なものについては、所轄労働基準監督署長の許可を受けて、満１３歳以上の児童を、その者の修学時間外に使用することが出来る。
　②映画の制作又は演劇の事業については、満１３歳に満たない児童についても、上記①と同様である。

　とされています。
　②はとくに映画演劇の子役を想定した規定です。
　この場合、修学時間も児童の労働時間に換算されるので注意が必要です。学生の仕事は学業などといいますが、労基法上はあながちまちがいでもないんですね。
　

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（兵士　キライナラ　タベチャエバ　ヨカッタノニ　……）

　心のどこかで、この人たちの一揆ってなんだかピクニックみたいだと思っていた。
　私は、だから手伝おうと思ったし、案内するのも悪くないと思っていたんだ。
　一揆なんて、私がぶらぶらしているうちに、どこかの誰かが終わらせてくれればいい。
　わかっていたのに、私は今更、今このお城のどこかで、誰かが血を流しているところを想像してしまっていた。
　知らず知らず、私は首を撫でていた。

殴られていたのに、貴女が腕を引いて走り出すまで、彼はそこから動こうとしませんでした。
けれどその手を引けば、彼は一切抵抗することなく、導かれるままに走ります。

兵士もそこまで暇ではないのでしょう。
ありがちな罵声とともに形だけ追いかけて、すぐに追跡をやめました。
もう止まっても大丈夫だ、貴女はそう思うでしょう。けれど、

彼はそんな事を言っていたでしょうか。歌うような言葉は、きっと貴女の聞きなれない言い回し。
貴女が止まろうとすると、今度は逆に、がっしり腕を掴まれてしまいました。

何処を見ているのか分からない、けれど楽しげに輝く瞳が貴女の方へ向けられて、
彼は走り出します。貴女の手を引いて、貴女よりも速く。