い、いえー！　あれはほら、パラダイスがネクターを人質に取って命令するから仕方なくですねー！
私達は本来か弱く優しく美しい種族なのです。ほんとですよ！

……そういうわけには行かないんです。
ついていくわけには。

ネクターはこの世界でしか咲きません。この世界を創造した神様が、そう定めているんです。
……本当は、私達エンブリオはネクターがなくても生きていけます。
でも。

ネクターという代替存在がない私達は、宿主の『生命』を吸い取り生きるんです。
私も他のみんなも、ついていきたい気持ちはありますけどそれでお嬢様を殺すわけにはいかないんですよ！
なのでお別れなんですー！

……だからあたしの世界の方から、このメルンテーゼに行き来できる手段が確立できればいいかな、って考えてるわ。
ここに来た頃はただの夢物語だったかもしれない。でも今は……。

できる気がする。
マオもまたどこかに旅立つのかもしれないけれど、気が向いたらまたこの世界に遊びに来ましょう？
旅人は自分で巡った一つ一つの場所全てが帰る宿になるんだって、好きな本の中に書いてたわ。

あけちゃおー！

ネクターが大事だとは、解っていたつもりだけど……。
まさか、貴方達が生命を吸う代替として利用してたなんて……。

代償が支払えなくなれば、契約したエンブリオの数はそっくりそのまま生命の危険に転じる。
……だがエンブリオの力無くしてパラダイスは倒せなかったと思う。
この騒動にボク達の力が必ず必要になるからこそ、今まで説明は避けていたんだ。
それが必要だと、全員が思っていた。……だけど、フェアじゃないのは確かだ。
すまなかった、ご主人。

……即ちこの騒動の解決は、私達とのお別れです、お嬢様。
付いて行きたくても、行けないんです。あなたを殺してしまう。

……黙っててごめん、イリス。

……今更その程度のことで貴方達を叱る気にはならないわ。
何日一緒に過ごしてきたと思ってるの。

さて、お出迎えよ。力を貸して頂戴。
今までどおり。何も変わらないわ。

精神をリンクしたわ。いつでもいけるわよ。

よし、始めようか。

よーし、やってやろうじゃん！

打ち倒す事が必要ならば、お相手致します