『認めてやろう。』

不死の王は笑った。
彼女に対して、この世に存在しえないと思うくらいの邪悪な笑みを。

彼女は安堵。
その笑みに臆することなく。
それはその笑みを浮かべた者への『約束』があったからだ。

『くくく・・・大丈夫だ。お前との契は既に見つけてある。』

そういうと目の前に現れる人影

随分と昔に、もう、見れなくなってしまった人影。

その影は次第にはっきりとして、見知る姿に。
今まで待ち望んでいた者の姿に。
会いたかった。ずっと待っていた。
彼女はあの頃に、妖怪になる前の様に

彼の胸に飛び込んだ。
ずっと何百年も待ち望んできたその姿に。
彼女には何もかも、奉げてきた彼に。
顔を上げられないくらいに涙を流して



『時間は夜明けまでだ。精々、ひと時を楽しむがいい』

そういうと王はまるで霧のように消え去りユキヒメの前から消え去った。
彼女の仲間達は気を使って先に行くとのことであった。
ここからは、二人の時間が費えていく


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今彼女たちは元は敵だった兵舎の一室を借りている。
そして王が言っていた、時間。
日が昇り始めていた。

彼女はベッドから起き上がる。
そこには彼女一人となっていた。
一夜を共に過ごした彼は既に雪の様に消えていた。

しかし、そこには見知った物がある。

昔、見せてもらった、彼の愛刀。
二本の牙と呼ばれた二本の刀であった。

それを見た彼女は、優しい笑みを浮かべ、一糸纏わぬ姿でその刀を抱く。
そろそろ他の子達が起こしに来そうであったが、彼女は余韻に浸る。
しばらく、このままであろう。

他の子の誰かが起こしに来るかもしれないが、その辺も気づかぬまま、彼女はベッドの上で彼と過ごした日を思い出していた。


もう、会えないとはわかっていても一目逢えただけで、何も他にはいらない。
あとは自分のユキヒメという使命をこなすだけ。


もう、あの頃の自分ではないのだから

——どくん

ぜーひゅー　ぜーひゅー