からんころん
からんころん

「コンコン」

くるくる
ぴょこぴょこ

「コンコン」

くるくる
ぴょこ



「……置いていくぞ」

跳ね回りながら歩いてたら、マハちゃんに怒られた。



お祭りからの帰り道。

沢山の出店で遊んで、屋台の美味しいものを食べて
何発も上がったでーっかい花火も見て
それに負けないくらい綺麗な可愛いホタル達も見て

余すことなく！夏の夜のお祭りを楽しんできたよ！

いつもは僕がはしゃぐばかりだったけど
今夜はみんなも楽しんでたみたい。
嬉しいなぁ。


でも、そんな楽しい時間はいつでもあっという間。


お祭りからの帰り道。
とっても静かな帰り道。

あんなに賑やかだったのが嘘みたい。



「コンコン」
「コンコン」

狐のお面で狐さんごっこ。

「コンコン」
「コンコン」

僕の声だけ響いてる。


もし僕が本当に狐だったら
兎でいるより長く生きられるのかな。
あっさり狩られることもなく、次のお祭りもみんなと過ごせるのかな。


静かな静かな帰り道。
そんなこと考えてたら、外せなくなっちゃった。



「コンコン」



来年の夏も、みんなで一緒に過ごせたらいいな。

相手がはっきり兎さんだと答えると、ぴたりと動きが止まった。
それから少しして、漸く、おずおずと口を開く。

ぴたりとこちらに向いてる兎の耳に、また、目を輝かせる。

笑顔で話す相手の様子をぼんやりと見つめながら

純粋な笑顔を向けてくる相手に対して少し戸惑いながらも